医療ニュース

2010年7月17日(土) 「心の電話相談」が過去最多

 「勤労者心の電話相談」をご存知でしょうか。

 これは、厚生労働省が所管する独立行政法人である労働者健康福祉機構というところが、勤労者の心の悩みのためにおこなっている無料電話相談で、実際には全国19ヶ所の労災病院で専門のカウンセラーが対応しています。

 この電話相談は2000年から開始されているのですが、2009年度の相談件数が前年度より1,649件増え、過去最高の25,725件に上ったことを、7月8日に同機構が発表しました。(報道は7月9日の共同通信など)

 相談者の内訳をみてみると、男女比はほぼ1:1、年代では40代が27.1%で最多で、30代20.7%、50代13.4%と続きます。

 相談内容では、職場の問題としては「上司との人間関係」が最多の2,741件となっています。

 精神の問題という観点からみると、「将来に対する不安感」が9,947で最多ですが、これは前年度比で13%増加しています。「落ち着けない」が7,388件、「イライラ・不安定」が5,693件と続きます。「自殺願望」も597件あったそうです。

 同機構は、「不況で職を転々とせざるを得ない状況の中で、新しい環境になじめず、社内のいじめへの悩みや、高齢の労働者を中心に、リストラや派遣切りなどへの不安の訴えが増えている」としています。

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 「将来に対する不安」を口にする患者さんは太融寺町谷口医院でも少なくありません。逆に「将来の不安はありません」という人はほとんどみたことがありません。(そういう人は医療機関に来ることもないのでしょうが・・・)

 「将来に対する不安」と言われると医師にはなす術がなく困ってしまいます。心の電話相談をすればすぐに解決!、というわけにはいかないでしょうが、ひとりであれこれ悩むよりはカウンセラーに話を聞いてもらうのはいい方法だと思います。

「勤労者心の電話相談」については、
http://www.rofuku.go.jp/yobo/kokoro_kenko/tabid/365/Default.aspx
を参照ください。全国の労災病院の相談受付番号も紹介されています。

(谷口恭)