医療ニュース

2010年9月26日(日) 体重増加で乳ガンのリスク

 20歳の時より体重が増えた女性ほど、閉経後に乳ガンを発症するリスクが高い・・・

 これは東北大学の研究者らが調査した結果で、9月24日に開催される日本癌学会で発表されたそうです。(報道は9月24日の共同通信など)

 報道によりますと、この研究では、1990年に宮城県内に住む40~64歳の女性21,183人が対象とされ、2003年までの約13年間にわたる追跡調査がおこなわれています。この期間中256人が乳ガンを発症しています。

 研究では、BMI(下記注参照)を(1990年の)調査時点と20歳の時について計算し、その間の体重変化と乳ガン発症との関係が解析されています。

 その結果、調査時のBMIが高いほど閉経後の乳ガン発症リスクが高く、20歳の時のBMIが高いほどリスクは低いということが判りました。つまり、20歳の時から調査時点までに体重の増加量が多ければ多いほど、それだけ閉経後に乳ガンを発症するリスクが高かったということになります。

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 これまでも「肥満は乳ガンのリスク」と言われることはありましたが、今回のように大規模調査で検証された研究は(少なくとも国内では)それほど多くないのではないかと思われます。

 この「20歳時の体重と現在を比べて・・・」という所見は、他の疾患でも当てはまると思われます。実際、私自身は患者さんに現在の体重を聞くときに20歳時の体重を合わせて尋ねることがしばしばあります。

 昔はやせていて今は太っている・・・。このパターンが乳ガンだけでなく、生活習慣病や脳血管障害のリスクになるに違いない、ということは多くの医師が感じていることです。

(谷口恭)

注:BMIはBody Mass Indexの略で、体重(キログラム)を身長(メートル)の2乗で割って算出します。例えば、体重88キログラム、身長2メートルの人であれば、88÷2の2乗=88÷4=22となります。