医療ニュース

2011年10月6日(木) 禁煙で記憶力アップ!

 昨年(2010年)の10月1日にタバコが大幅に値上げされ、その前後には禁煙治療希望者が一気に増え、全国的に禁煙治療薬のチャンピックスが品切れとなりました。しかし、この禁煙ブームの盛り上がりは次第に冷めてきたようで、年明け(2011年1月)あたりから禁煙治療希望者は減少傾向にあります。
 
 現在禁煙を検討している人に対して朗報があります。

 禁煙のメリットにはいろんなことがありますが、医学誌『Drug and Alcohol
Dependence』2010年12月1日号(オンライン版)に掲載された論文(注)によりますと、記憶力も向上することが明らかとなったそうです。
 
 この研究は英国Northumbria大学により実施されています。喫煙者27人、元喫煙者18人、喫煙未経験者24人が対象となり記憶テストがおこなわれています。テストでは、対象者に与えられた課題を思い出してもらい記憶力を測定しています。その結果、元喫煙者は課題の74%、喫煙未経験者は81%を記憶していたのに対し、喫煙者で課題を記憶していたのは59%にとどまったそうです。
 
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 この研究では、対象者の数が少ないように思われますが、それでも注目すべき内容でしょう。研究者によると、禁煙による記憶力への効果を検討した研究は今回が初めてだそうです。(過去にあってもよさそうな研究のように思われますので調べてみたのですが、私が調べた範囲では確かに記憶力と禁煙に関する研究は見当たりませんでした)
 
 現在喫煙している人は、この研究結果を充分に吟味してみればどうでしょうか。この情報の記憶がなくなる前に・・・。

(谷口恭)

注:この論文のタイトルは、「Smoking and everyday prospective memory: A comparison of
self-report and objective methodologies」で、下記のURLで概要を読むことができます。
 
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0376871610002383