医療ニュース

2011年12月28日(水) 体重が減らなくても有酸素運動で長寿に

 ジョギングや水泳を定期的にしているのに体重が落ちない・・・、と悩んでいる人には朗報です。

 運動により体重が変化したかどうかにかかわらず有酸素運動(注1)を定期的におこなうことが長生きにつながる、という調査結果が、医学誌『Circulation』2011年12月5日号(オンライン版)に掲載されました(注2)。
 
 この研究は、NIH(米国国立衛生研究所)が中心となり実施されています。対象者は中年男性(平均44歳)14,345人で、調査期間は11.4年になります。大まかな結論を言えば、「有酸素運動を続けてエネルギー消費を維持できていれば死亡リスクが約30%低減する」ということになります。そしてこれは、体重が落ちなかった場合でも、です。
 
 つまり、死亡率に関係するのは体重やBMI(体重÷身長の2乗)ではなく、有酸素運動をどれだけおこなっているかであったというわけです。

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 運動をがんばっている患者さんに話を聞くと、「やってるんですけどね~。なかなか成果がでないんですよ・・・」と答える人がいますが、今回の研究結果はこのような人たちには嬉しいお知らせとなります。
 
 この研究結果が普遍的なものであるならば、たとえ減量ができていないとしても運動を続けることが長生きにつながるわけですから、我々は有酸素運動を「日々おこなう生活習慣のひとつ」として考えるべきなのかもしれません。
 
(谷口恭)

注1 ここでは「有酸素運動」としましたが、原文は「cardiorespiratory fitness」です。そのまま訳すと、「心肺機能のためのフィットネス」、くらいになると思いますので、「有酸素運動」として差し支えないと考えました。
 
注2 この論文のタイトルは、「Long-Term Effects of Changes in Cardiorespiratory Fitness
and Body Mass Index on All-Cause and Cardiovascular Disease Mortality in Men」
で、下記のURLで概要を読むことができます。
 
http://circ.ahajournals.org/content/124/23/2483.abstract?sid=343c4f14-5bbf-
46ee-b7dd-a8e432570622