医療ニュース

2011年2月28日(月) 低所得の高齢者はガンになりやすい?

 高齢者で所得の低い人は、所得が高い人に比べると、ガンで死亡する危険性が2倍高い・・・

 これは日本福祉大学などの研究グループがおこなった調査の結果です。(報道は2月17日の読売新聞)

 報道によりますと、この研究は、愛知県と高知県の65歳以上の高齢者で、要介護認定や、ガン、心疾患、脳血管疾患、呼吸器系疾患の治療を受けていない15,025人を対象としています。調査期間は2008年5月までで、最長4年間になります。調査開始時点にアンケートで得た、所得や教育年数などの情報と、死亡原因の関係性が調べられています。

 その結果、男性高齢者では、所得400万円以上の層に比べ、200万円未満の層では、ガンによる死亡のリスクが1.9倍高くなっています。また、教育年数が13年以上の層に対し、6~9年の層では、ガンによる死亡リスクは1.46倍高くなっています。(女性のデータについては読売新聞の記事には記載がありませんでした)

 この結果を受けて、研究者らは、「社会経済階層が低いほど、喫煙や過剰な飲酒などガンになりやすい生活習慣を持つ傾向にあり、健康意識が低い人が多い。病院にかかる金銭的な余裕がないことも重症化を招いていると推測される」と話しているそうです。

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 これは低所得がガンにつながるわけではなく、低所得の人は喫煙・過剰飲酒などガンのリスク要因を有していることが多く、また健康への関心が低いことが予想される、ということだと思います。

 低所得→ガン、と短絡的に解釈されてしまうことには問題がありますから、この手の議論をおこなうときには慎重になるべきだと思います。

(谷口恭)