医療ニュース

2011年5月27日(金) エイズ発症者が過去最多に

 厚生労働省は毎年5月末に前年のHIV/エイズ関連のデータを発表します。昨年(2010年)1年間のエイズ発症者(エイズを発症して初めてHIV感染がわかったケース、いわゆる「いきなりエイズ」)が469人でこれは、昨年の431人から38人の増加となり、そして過去最多です。

 2010年に新たにHIV感染が判った人(まだエイズを発症していない感染者)は、1,075人で、これは2009年の1,021人より54人の増加となります。「新たにHIV感染が判った人」は2002年から増加の一途をたどっていて、2009年に初めて減少に転じましたが、これは感染者が減ったのではなく、検査を受ける人が減ったことが原因だと考えられています。そして、2010年には再び増加に転じています。

 全国の保健所などでおこなっている無料のHIV抗体検査は、2009年は新型インフルエンザの影響で減少したことが指摘されましたが、2010年は2009年をさらに13%下回っているそうです。同時に、保健所などへの相談件数も減少しているそうです。

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 HIVへの関心が低下し、検査件数が減少しているのにもかかわらず新規で発見される人は増えている。そして「いきなりエイズ」も増加している・・・。

 これは、言うまでもなく、「HIVに感染しているのに気づいていない人が増加している」ことを示しています。

 太融寺町谷口医院でも、(エイズを発症して受診という人はほとんどいませんが)何らかの症状からHIV感染が発覚するケースは2009年、2010年と比べて今年(2011年)は大きく増えています。2007~2008年は、発熱や倦怠感といった症状から、あるいは無症状でもキケンな行為があったことから自分自身でHIV感染を心配して受診、という患者さんが多かったのですが、2009年以降は、患者さん自身はHIVなどとは夢にも思っていない、というケースが増えています。

参考:医療ニュース
2010年6月10日「HIVの「検査数」が大幅減」
2009年6月20日「日本のHIV、増加傾向は変わらず」