医療ニュース

2011年6月12日(日) 糖尿病治療薬「アクトス」が膀胱ガンのリスク

 2011年6月9日、フランス当局(Afssaps)は、ピオグリタゾン塩酸塩を有効成分とする医薬品の新規処方をしないように通達しました。この医薬品が膀胱ガンの発生リスクを上昇させるという疫学研究が発表され、その結果をフランス当局が重要視したというわけです。

 ピオグリタゾン塩酸塩を有効成分とする医薬品というのは、比較的新しい糖尿病の治療薬で、商品名で言えば、アクトス、ソニアス、メタクトなどです。

 フランスでは、医師に対しては新規処方をしないように通達をおこない、すでにこれら薬剤を服用している人たちには、自己判断で服用を中止せず、主治医に相談するように注意を促しています。

 また、フランスのこの発表を受けて、これら薬剤の日本での販売元である武田薬品工業が日本の患者さんに対する通達をおこなっています。(下記注参照)

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 ピオグリタゾン塩酸塩は、ここ数年間で最も注目されていた糖尿病の治療薬のひとつと言えます。それだけに、我々医師にとってはこのフランスの発表は非常に強いインパクトがあります。

 ピオグリタゾン塩酸塩に限らず、糖尿病の治療薬は自己判断で中止するのは極めて危険です。フランス当局や武田薬品が発表しているように、現在服用している人はまず主治医に相談すべきです。(当院でこれら薬品を処方している患者さんには次回の診察時にお話しさせていただきます)

(谷口恭)

注:武田薬品の患者さんに対する案内は下記URLで読むことができます。

http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_info/file/kigyo_oshirase_201106_1_p.pdf