医療ニュース

2011年7月29日(金) 手足口病の勢い止まらず

 先日、今年は手足口病が10年で過去最多の流行をみせているという情報をお伝えしましたが(下記医療ニュース参照)、その勢いはさらに増加しており、記録のある1982年以降では感染者が過去最多を記録しています。

 国立感染症研究所の報告によりますと、全国の小児科定点の報告は定点あたり9.7となり、この数字が過去最多となるそうです。先月(6月)の時点では、感染者の報告は西日本に集中していましたが、現在では首都圏や東北地方にまで流行が蔓延しているようです。

 大阪府立公衆衛生研究所は「受診医療機関によっては,成人の手足口病患者の診断が困難な可能性がある」と指摘し、成人の流行状況の把握が重要であることを発表しています(注)。

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 今年の手足口病の特徴で重要なのは、①成人にも発症する、②重症化するケースが多い、の2つです。皮疹も手・足・口に限定されず、耳、膝、腹部などにも強い痛みを伴う水泡が出現するケースが報告されています。

 大阪府立公衆衛生研究所が言うように、成人での感染を迅速に把握することが重要になってきます。これは新たな感染を防ぐためです。しかし、感染が発覚したとしても手足口病には特効薬があるわけではありませんから、治療は安静と対症療法(熱を下げるなど)のみとなります。

 当分の間は、年齢を問わず、うがい・手洗いをしっかりとおこなう必要がありそうです。

(谷口恭)

注:大阪府立公衆衛生研究所の報告については下記URLで読むことができます。
http://idsc.nih.go.jp/iasr/rapid/pr3786.html

参考:医療ニュース
2011年7月10日 「手足口病がアウトブレイク」