医療ニュース

2012年12月29日(土) プロペシアの性機能低下と発ガンリスク

 男性型脱毛症(AGA)治療薬のプロペシアを長期で内服すると、性欲低下(リビドー減退)や勃起不全などの副作用が起こるということがしばしば指摘されます。

 たしかに一定の割合でこういった副作用を訴える人がいます。私の印象で言えば、10人に1人いるかどうか、という感じです。プロペシアの添付文書には、リビドー減退は「1~5%未満」、勃起機能不全や射精障害は「1%未満」とされています。
 
 プロペシア(一般名はフィナステリド)の性欲低下に関する研究で興味深いものが報告されたので紹介したいと思います。

 医学誌『BJU International』2012年11月16日号(オンライン版)に掲載された論文(注1)によりますと、プロペシアを内服している右利きの男性は、性機能は影響されないか低下がおこることがあるのに対し、左利きの男性は、影響されないか性機能の改善があるそうなのです。
 
 左利きの男性はAGAも性機能も共に改善する、ということが事実であれば世界中の左利きの男性にとって朗報でしょう。

 ただし、この研究は対象者がわずか33人のルーマニア人男性で、調査期間は4週間だけです。この研究は「パイロットスタディ」として行われただけであり、本格的な調査は先の話です。
 
 もうひとつ、プロペシアの副作用を報告しておきたいと思います。

 通常、プロペシアは1日1回1錠内服します。1錠は1mgです(日本では0.2mgというものもありますがあまり処方されていないそうです(注2))。通常の5倍に相当する5mgを内服したときにどのような副作用が出現するかという研究が海外でおこなわれました。
 
 結果は、5mgを7年間内服したグループはプラセボ(偽薬)を同期間内服したグループに比べ、高悪性度前立腺ガンの発現率が1.7倍高くなったそうです。(5mg投与群が1.8%、プラセボ投与群が1.1%とされています)
 
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 本文でも述べたように、左利きなら性機能改善、と断定するには時期尚早かと思います。左利きの人は過剰な期待をしない方がいいでしょう。

 後半で述べた前立腺ガンのリスクについては、今までも可能性を指摘されていましたがメーカーは否定してきました。それが一転して添付文書に記載されたわけですが、通常の5倍量での調査ですし、相対リスクが1.7ですから、通常の1mgを1日1回であればあまり気にしなくてもいいのではないかと思われます。しかし、AGAというのは本来「病気」ではありませんから、わずかでもリスクがあるならあえて飲む必要もないのではないか、とも思われます。
 
 私がプロペシア処方に慎重になるのは、(wifeの)妊娠・出産を検討されている人に対してです。下記医療ニュースも参照ください。

(谷口恭)


注1:この論文のタイトルは、「A pilot study on the sexual side effects of finasteride as related to
hand preference for men undergoing treatment of male pattern baldness」で、下記のURLで概要を読むことができます。
 
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1464-410X.2012.11580.x/abstract


注2:太融寺町谷口医院でもプロペシアは1mgのみで、現在0.2mgの処方はおこなっていません。

参考:医療ニュース2012年1月20日 「プロペシアで男性不妊症の可能性」

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