医療ニュース

2012年4月2日(月) HbA1Cの基準が変更

 糖尿病の状態を知るのに最もよく使われる指標のひとつであるHbA1C(ヘモグロビンエーワンシー)の基準値が今月(2012年4月)から変更されます。糖尿病の状態が同じであれば今月からの検査では0.4%ほど高く表示されることになります。糖尿病の診断基準は「6.1%以上」ということになっていますから、これが「6.5%以上」に引き上げられることになります。
 
 なぜこのような事態になったかというと、世界的におこなわれている測定方法(NGSP)と日本でおこなわれている方法(JDS)が異なるからです。このため、これまでは、HbA1Cの数値を検討するときは、それが日本式で測定されたものなのか、海外式で測定されたものなのかを見極めなくてはなりませんでした。日本から海外に行く人、海外から日本に来た人の間ではたいへんややこしかったわけです。
 
 これからはそのややこしさがなくなることになりますから、これは歓迎すべきなのですが注意点もあります。

 ひとつは、糖尿病の診断基準が甘くなるわけではない、ということです。例えば、3月の検査でHbA1Cが6.1%の人が、診断基準が6.1から6.5%になった、ということを聞いて「まだ余裕がある」と感じるのは間違いです。
 
 また、当分の間混乱を招きそうなのは、国がおこなっているメタボ検診ではしばらくの間は日本式の古い測定方法を用いる、ということです。このため、検診では低い数字が出ていたのに、医療機関で再検査をおこなうと高い数字がでた、ということになります。
 
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 当たり前の話ですが、今回の変更があるからといって、治療法がかわるわけではなく、生活習慣の見直しが必要な人はこれまで通り見直しの努力を続けていかなければなりません。
 
 太融寺町谷口医院に糖尿病(またはその予備軍)で通院されている人には、受診されたときに個別に説明させていただきます。

(谷口恭)