医療ニュース

2012年5月11日(金) 20代女性の3人に1人は「自殺」を・・・

 2012年5月1日、内閣府は自殺対策に関する意識調査の結果を公表しました。この調査は、2012年1月、全国の20歳以上の男女3,000人を対象として実施されたものです。(有効回収率は67.2%)
 
 結果は、過去に自殺を考えた経験がある人は全体の23.4%で、これは前回調査(2008年2月)より4.3ポイント増えています。

 年代別でみてみると、20代が最多で28.4%となっています。さらに20代の女性だけでは33.6%に上り、20代女性の3人に1人以上が自殺を考えたことがある、ということになります。前回の調査では自殺を考えたことのある20代女性は21.8%でしたから、実に11.8ポイントの大幅な増加です。さらに、自殺を考えたことがあると答えた20代女性の44.1%が「最近1年以内に考えたことがある」と回答しています。
 
 他の年代をみてみると、30代で25.0%、40代で27.3%、50代で25.7%となっています。

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 自殺を考えたことのある人が全体の23.4%というのも驚くべき数字ですが、20代女性で急激に上昇していることに注目すべきでしょう。この2年の間に自殺を考える20代女性が11.8ポイントも増えている原因は何なのでしょうか。たしかに、太融寺町谷口医院を受診している20代の女性の患者さんのなかにも、うつ状態から自殺を考えている・・・、と話される人がときどきいますが、その原因はそれぞれであり、全体でこんなにも急増している理由が私には見当がつきません。
 
 このニュースが報道されたとき、私は東南アジアのある国に滞在していたのですが、現地の新聞にもこの記事が掲載されていました。私は海外にいくと現地の英字新聞を読むのを楽しみにしているのですが、その理由のひとつが「日本の記事がどのように報道されていて日本がどのように見られているか」が分かるからです。この日の新聞で日本に関する記事はこの話題だけでした。海外、特に東南アジアからみれば、まだまだ日本というのは大変豊かで夢のような国であり、一般のアジア人からすれば、なぜ日本のような国で若者が自殺をするのかが分からない、とよく言われます。
 
 自殺対策というのは本当にむつかしいものではあるのですが、なんとかしなければなりません・・・。

(谷口恭)

参考: 医療ニュース2012年3月21日 「日本の自殺者、14年連続で3万人超」