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2012年9月28日(金) 重症化する新型コロナウイルス

 重症化する新型コロナウイルスが発見された・・・

 WHO(世界保健機関)は2012年9月23日と25日に、肺炎を発症し重体となった40代のカタール人男性から新型のコロナウイルスが検出されたことを公表しました(注1)。

 このカタール人男性は、2012年9月上旬にサウジアラビアとカタールを旅行中に呼吸器症状を発症し、ドーハの集中治療室に入院となり、9月11日にイギリスに航空搬送されています。急性腎不全も併発しているそうです。

 HPA(The Health Protection Agency of the UK、英国健康予防局)の調査により、新種ウイルスが検出され、このウイルスはコロナウイルスの新型と認定されたようです。

 HPAによれば、このウイルスは2012年6月に死亡したサウジアラビア人の肺の細胞から採取されたウイルスと99.5%一致するそうです。このサウジアラビア人の調査はオランダのエラスムス大学がおこなっていました。

 コロナウイルスといえば、よくある風邪の代表的な原因ウイルスのひとつですが、2002年から2003年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)もコロナウイルスの1種です。WHOの報告によれば、今回カタール人が発症したものはSARSの原因ウイルスとは異なる、まったく新しいタイプのコロナウイルスとなるそうです。

 この新型ウイルスは今後急速に広まる可能性もあります。9月26日、デンマークのオーデンセ大学病院は、このウイルスに罹患した可能性のある5人(うち2人は5歳未満)を病院内に隔離したことを公表しました。同院によりますと、5人のうち4人は同一家族で父親がサウジアラビアへの渡航歴があり、もう1人はカタールへの渡航歴があるそうです。
 
 これら一連の動きを受け、サウジアラビア保健省は、9月26日、感染予防策を講じるとの発表をおこないました。入国者の監視を強化し、感染の疑いのある人に検査を実施していくそうです。サウジアラビアでは、10月に「ハッジ」と呼ばれるイスラム教聖地メッカへの巡礼があり、世界中から200万人以上が集う予定だそうです。

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 現時点では、WHOは旅行規制の推奨はおこなっていないようですし、日本の外務省のウェブサイトにも情報がありませんが(注2)、今後どのような指針が発表されるか分かりません。中東方面に渡航される方は充分注意してください。

(谷口恭)

注1:WHOのこの発表文のタイトルは「Novel coronavirus infection - update」で、下記のURLで閲覧することができます。

http://www.who.int/csr/don/2012_09_25/en/index.html

注2:外務省のウェブサイトには情報がありませんが、FORTH(厚生労働省検疫所)のサイトには簡単な説明があります。興味のある方は下記を参照ください。

http://www.forth.go.jp/news/2012/09261721.html