医療ニュース

2012年2月27日(月) 短時間の睡眠で糖尿病リスクが5倍以上に

 睡眠時間が5時間以下の人は、7時間以上の人と比べて糖尿病発症の危険性が5.4倍に・・・。

 これは医学誌『Diabetes Care』2012年2月号に掲載された研究発表で、研究は日本でおこなわれたものです(注)。

 この研究では、糖尿病に罹患していない35~55歳の男女3,570人が対象とされています。2003年から2007年まで追跡調査がおこなわれ、この4年間で121人が糖尿病を発症したそうです。睡眠時間との相関関係を調べると、睡眠時間5時間以下の人は、7時間以上の人と比べると、約5.4倍糖尿病を発症しやすいという結果になったそうです。
 
 この研究では、実際の睡眠時間以外にも、個々の睡眠に対する印象と糖尿病発症の関係が検討されています。「睡眠不足を感じている」とした人は、感じていない人より約6.8倍もリスクが高く、「夜中に目が覚めることが深刻な問題」とした人は、そうでない人より約5.0倍高かったようです。
 
 今回の研究の対象者で睡眠が5時間以下の人は、長時間労働者や、(看護師など)シフト勤務をしている人が多かったそうです。研究者は、「糖尿病の予防には食生活の改善や運動などだけでなく、質のいい適切な時間の睡眠を確保できるような職場の環境も重要」と述べています。
 
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 糖尿病には1型と2型がありますが、大半は2型であり、この研究も2型を対象としています。そして、2型糖尿病のリスクは、食事や運動などですが、遺伝的な要因もあります。また、子供の頃に肥満傾向にあった人は糖尿病のリスクが増えるという研究もあります。
 
 ということは、親族に糖尿病の人がいたり、子供の頃に肥満があったり、といった糖尿病のリスクがあると考えられる人は、職業を選ぶときに長時間労働や夜勤のある仕事はできれば避けるべき、ということになるかもしれません。(ただしこの研究では親や兄弟に糖尿病罹患者がいる人は対象とされていません)
 
 研究者も述べていますが、労働者がしっかりと睡眠がとれるように社会全体で職場の環境について考えるべきでしょう。


注1:この研究をおこなったのは、北海道大学と旭川大学に所属のKita Toshiko氏で、論文の
タイトルは「Short Sleep Duration and Poor Sleep Quality Increase the Risk of Diabetes in
Japanese Workers With No Family History of Diabetes」です。下記URLで論文の概要を読めます。
 
http://care.diabetesjournals.org/content/35/2/313.abstract?sid=6fb480db-0624-487e-b72c-5ca5f9c50b32