医療ニュース

2007年6月11日(月) 危険な輸入健康食品

 先日、中国製のせき止めで100人以上のパナマ人が死亡したというニュースをお伝えしましたが、今度は中国製の健康食品で被害者が出たという事件が話題になっています。今回の被害者は日本人の幼児です。(報道は6月1日の共同通信)

 この健康食品は、アトピー性皮膚炎に効くとされており、名前を「適応源(てきおうげん)」と言います。ベタメタゾンというステロイドが入れられており、このためこの健康食品を摂取した茨城県の幼児が、顔が丸くなる、体毛が濃くなるといった、ステロイドの副作用で苦しんでいるようです。

 入手については、この幼児の母親がインターネットを通して上海の業者から個人輸入したそうです。

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 危険な健康食品は中国産だけではありません。

 6月2日の毎日新聞によりますと、名古屋市内の30代の女性がインターネットを通してタイから個人輸入したダイエット製品「MDクリニックダイエット」から、国内未承認のシブトラミンが検出されたようです。

 この女性は、11,000円でこのダイエット製品を購入し服用していたところ、頭痛やめまいといった症状が出現し、市に相談したことで今回の事件が発覚しました。

 厚生労働省のホームページによりますと、タイのインターネットから個人輸入されたダイエット製品に関して、2002年から2006年に全国で合計6件の健康被害が報告され、そのうち2005年6月には服用した神奈川県の女性が死亡しています。

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 「シブトラミン」は、食欲を抑える働きがありますが、これは覚醒剤に類似した物質だからです。海外では、ダイエット用の医薬品として承認されているところもありますが、極度の肥満症の人に対して医師が厳格な管理をおこなうという条件でのみ認められています。

 したがって、個人輸入をおこない自分の判断で服用するなどということは危険極まりない行為なのです。

 個人輸入は医薬品であっても現在の日本の法律では合法ですが、危険性を考えれば安易に手をだすべきではありません。死亡するのは極端な例だとしても、まがいものをつかまされたり、危険な成分に苦しめられたりする可能性は少なくないのです。

参考:
ネット販売薬の半分はニセモノ 2007年2月20日
ダイエット用食品から未承認医薬品検出 2007年3月23日
中国製のせき止めで100人以上が死亡 2007年5月22日