医療ニュース

2007年9月25日(火) 喫煙者は認知症やアルツハイマー病に罹患しやすい

 喫煙者は非喫煙者よりアルツハイマー病や認知症を発症しやすい・・・。

 このような研究が「Neurology」という医学雑誌の2007年9月4日号に発表され話題を呼んでいます。

 研究によりますと、現在喫煙している55歳以上の人は、喫煙経験のない人より50%も認知症を発症しやすいことがわかりました。(この研究は、大規模な一般集団を対象としたオランダのプロスペクティブ(前向き)コホート研究であるRotterdam Studyによるものです)

 今回の研究では、研究開始時点で認知症のない55歳以上の被験者6868例を対象に、1990-1992年に面接を実施しています。被験者全例に対して自宅で面接を行い、現在と過去の健康状態、服薬状況、生活習慣、慢性疾患のリスク因子について聴取し、過去と現在の喫煙習慣について質問しています。

 さらに、認知症を有することが疑われる人には、神経内科医・神経心理学者による検査を行い、可能であれば脳の磁気共鳴画像診断も実施しています。

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 この研究で大変興味深いのは、「過去の喫煙と認知症・アルツハイマー病には関係がない」とされていることです。

 今年の7月に厚生労働省が発表した喫煙の報告では、「タバコで余命が3.5年短くなる」とされていました。

 喫煙している患者さんに、この話をすると「3.5年程度なら問題ない(だからタバコをやめない)」と答える人がいますが、今回の研究が示唆するように、「喫煙者は非喫煙者よりも認知症やアルツハイマー病にかかりやすいけれど、過去の喫煙は関係ない」という報告をよく考えると、これが禁煙のモチベーションにつながるのではないでしょうか。

 「命が多少短くてもかまわない」、と答える人も、その(短くなるかもしれない)命は、認知症などとは無縁でいたいと考えているに違いないからです。