医療ニュース

2007年9月3日(月) 百日咳が大人に流行

 百日咳と言えば、子供の病気として有名ですが、最近は大人の間にも増えていることが国立感染症研究所の調査で明らかとなりました。

 今年は百日咳に罹患した人の約3割が成人で、これは7年前のおよそ14倍に相当します。成人の罹患者は年々増えています。

 同研究所によりますと、全国約3千の小児科定点医療機関から8月12日までに報告された百日咳罹患者は1,409人となっています。年間の罹患者が3,804人とやや大きな流行だった2000年に次ぐ7年ぶりの流行と言えます。

 7月22日までの集計では、罹患者のうち6歳未満の乳幼児の割合が年々減少する一方で、20歳以上は一貫して増加しています。成人罹患者の報告は2000年には全体の2.2%でしたが、2004年には9.5%、昨年(2006年)は24.3%と急増しています。今年は7月22日までに30.7%を占め、割合は7年前の14.0倍となっています。

 同研究所は、「小児科からの報告しかないために詳細は把握できないが、実際の成人患者はもっと多い可能性もある。幼児期に予防接種をしても徐々に免疫力は低下するので大人も注意が必要」と指摘しています。

 百日咳は、今年は大学での集団感染が目立っています。5月には香川大学医学部で学生42人が感染し臨時休講となったほか、大阪府立大学、高知大学医学部でも6月から7月にかけて学生が感染し臨時休講措置がとられました。

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 感染症の届出には、「全数」と「定点」があります。「全数」に指定された感染症は、どこの医療機関であれ、その感染症に罹患した患者さんを発見すれば届けなければなりません。(届出をしなければ罰則規定があります) HIVや梅毒、エボラ出血熱などがこれに相当します。

 一方、「定点」に指定された感染症は、あらかじめ決められた医療機関のみが届出をしなければならないことになっています。百日咳は「定点」です。

 したがって、国立感染症研究所が指摘しているように、感染者を発見しても大半の医療機関では届出をおこなっておらず(おこなえず)、実際の感染者は相当多いと考えるべきでしょう。

 「長引く咳」のある人は早めに医療機関を受診しましょう。