医療ニュース

2008年2月4日(月) ボツリヌス毒注射の副作用で16人が死亡

 シワ取りなど美容外科領域で使われることもあるボツリヌス菌毒素の注射による副作用で、米国では少なくとも16人が過去9年間の間に死亡していることがわかりました。

 この発表をおこなったのは、米国の消費者団体「Public Citizen」です。(報道は1月29日の読売新聞)

 ボツリヌス毒素は神経を一時的に麻痺(まひ)させ筋肉を弛緩させます。筋肉の弛緩によりシワがとれることから近年日本でも美容領域でもよく使われる薬剤です。

 この消費者団体は、製薬会社からFDA(米国食品医薬品局)に提出された自発的な副作用を分析しています。麻痺の影響で飲食物が誤って気管に入ったことによる肺炎(「誤嚥性肺炎」と言います)が、1997年11月から2006年12月に米国内で180件あり、そのうち16人は死亡しています。死者のうち4人は少年で、シワ取り治療でも1人が亡くなっています。

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 最近はボツリヌス菌が大変有名になり、シワ取り目的で注射を希望する人が増えています。当院の患者さんからも何度か問い合わせを受けたことがあります。

 極めて専門性の強い治療になりますから、興味のある方は施術前に危険性をしっかりと認識すべきでしょう。(すてらめいとクリニックではこの注射をおこなっていません)

(谷口恭)