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2013年11月11日 自殺のリスクが低くなる食事とは

  自殺のリスクが低くなる食事のパターンについて、日本人を対象とした研究が報告されたので紹介しておきます。

 国立国際医療研究センター(National Center for Global Health and Medicine)のAkiko Nanri氏らのグループによるJPHC研究(Japan Public Health Center-based Prospective Study)というものがあり、この研究により得られたデータを分析することによって食事と自殺のリスクとの関係が調べられています。研究結果は医学誌『British Journal of Psychiatry』2013年10月10日号(オンライン版)に掲載されています(注1)。

 この研究の対象者は日本人男性40,752人、日本人女性48,285人です。食物摂取頻度調査票を用いて合計134種類の食品と飲料の消費量が調べられています(この調査は1995年から1998年に実施されています)。自殺をしたかどうかは2005年12月までが調べられています。

 これらを分析したところ、男女とも、野菜、果物、いも類、大豆製品、きのこ類、海藻、魚介類の摂取量が高ければ、自殺のリスクが低いという結果が出たそうです。

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 食事とうつ病や自殺を調べた調査は過去にもあり、例えばω3系の不飽和脂肪酸を積極的に摂取するのがいいとされるものが有名です。

 今回の研究では、結局のところ、日本人が古来から食べている馴染みのあるものをバランスよく食べるのがいい、という結果であり、論文のなかでも、"prudent"な食事パターンがすすめられる、と述べられています。"prudent"とは「常識的な」とか「良識のある」という意味で、伝統的な食事に勝るものはないということを意味しています。

(谷口恭)

注:この論文のタイトルは、「Dietary patterns and suicide in Japanese adults: health centre-based prospective study」で、下記のURLで概要を読むことができます。
http://bjp.rcpsych.org/content/early/2013/09/27/bjp.bp.112.114793.abstract?sid=4041be03-3108-4950-a0f5-e569225da988