医療ニュース

2016年7月13日 韓国全土に日本脳炎警報

 朝鮮日報日本語版(注1)によりますと、2016年7月11日、韓国保健福祉部は、韓国全土に「日本脳炎警報」を発令しました。

 報道によれば、韓国保健福祉部疾病管理本部(The Korea Centers for Disease Control and Prevention)の調査で、2016年7月7日に釜山で採取された蚊の64.2%がコガタアカイエカで500匹以上になるそうです。この結果を受けて「警報」が発令されたもようです。韓国の規定では、採取した蚊の半分以上かつ500匹以上がコガタアカイエカであった場合に「警報」が発令されるそうです。

 尚、韓国では昨年(2015年)に40人が日本脳炎を発症しており、これは2001年以降では最多となるそうです(注2)。

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 日本脳炎ウイルスは、豚の体内に生息しており、コガタアカイエカが豚を吸血したときにウイルスが蚊の体内に侵入し、次にヒトを刺したときにウイルスがヒトの体内に侵入することによって感染します。したがって、釜山でコガタアカイエカが大量に確保されたとしても、蚊の体内にウイルスがいなければリスクはありません。

 例えば、釜山の豚の血液から日本脳炎ウイルスそのものか抗体が検出される割合が高いのであれば、たしかにヒトが感染するリスクは高いと言えるのですが、朝鮮日報日本語版の報道では、そのあたりの記載がなくわかりません。(私はハングルが読めないので原文を理解できません)

 しかし、はっきりと「韓国全土で警報」と書かれていますから、韓国の当局がハイリスクと判断したのは間違いないでしょう。韓国渡航を考えている人はワクチン接種をした方がいいかもしれません。

 尚、これまでは私は韓国渡航者に対して「豚を飼っているような地方にいかない限りは日本脳炎のワクチンは不要」と伝えてきました。今回の調査が釜山でおこなわれたこと、当局は「全土」に警報を発令したことから考えると、渡航先に関係なくワクチンを接種した方がいいのかもしれません。


注1:下記URLを参照ください。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2016/07/12/2016071200668.html

注2:朝鮮日報には英語版もあり、この情報はなぜか英語版にはあり日本語版にはありません。

http://english.chosun.com/site/data/html_dir/2016/07/12/2016071201405.html


参考:はやりの病気第63回(2008年11月)「日本脳炎を忘れないで!」