医療ニュース

2016年11月4日 エンテロウイルスD68、8割以上に手足の麻痺残る

 2015年8月以降、エンテロウイルスD68の報告が突然急増しだし、同時に急性弛緩性麻痺の症例の報告が相次いだことから、厚生労働省が「急性弛緩性麻痺(AFP)を認める症例の実態把握について(協力依頼)」という事務連絡を発令した、ということを以前紹介しました(注1)。

 日本小児科学会は、このウイルスと小児麻痺のその後の経過についてまとめて発表しました(注2)。

 この報告では、エンテロウイルスD68が原因で脊髄炎を発症し、手足の麻痺が生じた54症例(男32例、女22例。15歳以下が51例、3例が成人。麻痺の症時期は、2015年8月6例、9月36例、10月9例、11月3例)が分析されています。麻痺が完治したのは54人中わずか5人(9%)のみで、33人(61%)は軽度の回復のみ、11人(20%)は改善が見られなかったそうです。つまり8割以上に手足の麻痺が残っていることになります。

 手足の麻痺以外には、4人(7%)に意識障害、11人(20%)に手足の感覚障害が生じています。8人(15%)に脳神経症状(顔面麻痺や嚥下困難)、13人(24%)に膀胱直腸障害(排尿・排便がうまくできない)が認められています。

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 下記「はやりの病気」にも書いたように、米国CDC(疾病管理センター)が2014年12月に、「新たな感染症の脅威(New Infectious Disease Threats)」というタイトルで4つの感染症を挙げ、そのうちのひとつがこのエンテロウイルスD68です。

 現在のところ、この病原体に対する特効薬もなければワクチンもありません。一般の感染予防をおこなうしかないのです。米国とは対照的に、日本ではなぜかあまりこの病原体については取り上げられませんが、もっと注目されるべきです。

 今年はなぜか流行していないようですが、こういった感染症はある時突然流行りだします。日ごろから家族全員でうがい・手洗いをおこなう習慣ができているかどうか再確認すべきです。


注1:はやりの病気第150回(2016年2月)「エンテロウイルスの脅威」

注2:報告書のタイトルは「2015年秋に多発した急性弛緩性麻痺症例に関する臨床的考察~急性弛緩性脊髄炎を中心に~(中間報告)」で、下記URLで全文が読めます。

http://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20160724enterovirus1.pdf

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