医療ニュース

2017年8月30日 アメリカンフットボールの選手のほとんどがCTEに!

 慢性外傷性脳症(以下「CTE」)...。世間では今もあまり知られておらず名前も地味ですが、もっともっと注目されなければならない、と数年前から私が(他に仲間もおらず)ひとりで言い続けている疾患です。

 詳しくは過去のコラム(注1)を参照いただきたいのですが、ここでも簡単にまとめておくと、アメリカンフットボールの選手の多くが度重なる頭部への衝撃が原因で脳に損傷が生じ、若くして認知症、うつ病、パーキンソン病様症状などの神経症状を発症し、やがて死に至る極めて悲惨な疾患です。また自殺率が高いことも判っています。

 アメリカンフットボールが原因であることが自明でありながら、これまでそれが大きく報道されておらず、また野球やサッカーでも同じ被害が出ることも指摘されていますが、こちらも(特に日本の)メディアはあまり取り上げません。

 今回紹介したい研究は、CTEが従来考えられていたよりもずっと起こりやすいことを明らかにしました。

 医学誌『JAMA』2017年7月25日号(オンライン版)に掲載された論文(注2)によると、死亡した元アメリカンフットボール選手202人(死亡時年齢中央値66歳)のうち、なんと177人(87%)もが神経病理学的にCTEの診断がついたのです。177人の死亡時年齢中央値は67歳、選手をしていた期間は平均15.1年でした。

 また、NFL(ナショナル・フットボール・リーグ)の選手111人だけで検討すると、なんと110人(99%)がCTEの診断がついているのです。つまり、選手としてのレベルが高いほど有病率が高いということです。

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 この研究、海外のSNSでどれだけ話題になっているのか私にはわかりませんが、少なくとも海外のメディアでは大きく報道されています(注3)。一方、日本のメディアは沈黙しているようにしか見えません。日本では欧米諸国と比べると、アメリカンフットボールをプレイする人数は少ないでしょうが、サッカーや野球は大勢います。

 また、CTEは過去に「パンチドランカー」と呼ばれていたものとほぼ同じ疾患であり、ボクサーをはじめとする格闘家に多いことも分かっています。

 日本でもこういったスポーツがCTEのリスクになっていないかどうかを調査し、危険性がどの程度か明らかにし世間に伝えるべきだと私は考えています。


注1;下記コラムを参照ください。

はやりの病気第137回(2015年1月)「脳振盪の誤解~慢性外傷性脳症(CTE)の恐怖~」
医療ニュース2017年3月6日「ヘディングは脳振盪さらに認知症のリスク」
医療ニュース2016年10月14日「コンタクトスポーツ経験者の3割以上が慢性外傷性脳症」

注2:この論文のタイトルは「Clinicopathological Evaluation of Chronic Traumatic Encephalopathy in Players of American Football」で、下記URLで概要を読むことができます。

http://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/2645104?resultClick=1

注3:下記を参照ください。

BBC:http://www.bbc.com/news/world-us-canada-40718990
CNN:http://edition.cnn.com/2017/07/25/health/cte-nfl-players-brains-study/index.html

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