医療ニュース

2018年1月31日 うつ病の背景にヘルペス2型とサイトメガロが?

 うつ病は心(精神)の病であり、通常は感染症とは無関係です。一方、疲労についてはヘルペスウイルス6型(HHV-6)との関連が指摘されています。HHV-6は幼少期に感染する突発性発疹の原因ウイルスのひとつで、いったん感染するとウイルス自体は生涯体内から消えません。また、疲労が強いときに口唇ヘルペスや性器ヘルペスを発症しやすくなりますから疲労が単純ヘルペス1型(HSV-1)や2型(HSV-2)と関連しているのも間違いありません。(ちなみに、昔はHSV-1が口唇ヘルペス、HSV-2が性器ヘルペスの原因と言われていましたが、実際には口唇ヘルペスの病変からHSV-2が、性器ヘルペスからHSV-1が検出されることも多々あります)

 しかし、疲労ではなくうつ病が一部のウイルス感染が関与しているという研究が発表されました。医学誌『Psychiatry Research』2018年3月号(オンライン版)(注1)に掲載されています。

 研究の対象は米国の成人で、CDC(米国疾病管理局)の国民健康栄養研究調査(National Health and Nutrition Examination Survey)のデータを解析することによりおこなわれています。研究の対象となった感染症はいずれもウイルスで次の6つ。A型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)、HSV-1、HSV-2、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)、サイトメガロウイルス(CMV)です。

 うつ病と関連があることがわかったのはHSV-2とCMVです。HSV-2感染はうつ病のリスクを上昇させ、CMVはその抗体価が高ければうつ病を発症しやすくなるとの結果がでています。

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 CMVは幼少時もしくは青年期までに感染することが多く、抗体価が高くなるのは免疫が低下したときです。例えば、HIVに感染して無治療でいるとCMVは活性化し、その結果、抗体価が高くなります。(CMVの抗体はCMVをやっつけることはできません) 一方、HIV感染とうつとはいかにも関係がありそうですが、これが否定される結果となりました。ということは、HIV感染→免疫能低下→CMV抗体価上昇→うつ病、というわけではないということになります。

 また、HSV-1では無関係で、HSV-2のみがうつ病のリスクになるというのは、それを説明する合理的な理由が見当たりません。

 まだまだ謎だらけのウイルスとうつの関係と言えそうです。また、冒頭で述べた疲労の原因であることが分かっているHHV-6とうつの関係も知りたいところです。


注1:この論文のタイトルは「Association between virus exposure and depression in US adults」で、下記URLで概要を読むことができます。

http://www.psy-journal.com/article/S0165-1781(17)30980-0/abstract

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2018/05/16

2018年4月17日より本ページで予告していましたように、2018年5月16日より麻疹風疹混合ワクチンの接種は、当院をかかりつけ医にしている方(及び当院に一度でも受診したことのある方)に限定させていただきます。