医療ニュース

2018年10月1日 細菌が肥満と精神症状の原因、抗菌薬は効くけれど......

 以前、毎日新聞の「医療プレミア」に「抗菌薬を飲むと太る」というコラムを書いたことがあります。家畜に抗菌薬が使われるのは感染症の予防よりも短期間に体重を増やすことを目的とされており(現在これが非難され畜産業界も変わりつつありますが)、動物が太るならヒトも太ると考えるのが理にかなっています。マウスに高脂肪と抗菌薬を同時に与えると体重が急増することを証明した実験もあります。「医療プレミア」ではそのあたりについても解説しました。

 今回紹介したいのは抗菌薬でなく「細菌」が肥満をもたらし、さらに不安や抑うつといった精神症状の原因になるという研究です。医学誌『Molecular Psychiatry』2018年6月18日号(オンライン版)に掲載された論文「Gut microbiota modulate neurobehavior through changes in brain insulin sensitivity and metabolism」にまとめられています。

 論文の著者は米国マサチューセッツ州ハーバード大学医学部で糖尿病の研究をしているRonald Kahn氏。研究チームはマウスに高脂肪食を与え、動物が肥満になったときの行動を観察しました。さらに、高脂肪食で肥満になったマウスは暗い領域でじっとしていることが分かりました。暗いところでじっとしているからといって、これらマウスが不安や抑うつを自覚しているとは断定できません。研究者らは側坐核(nucleus accumbens)と 扁桃体(amygdala)という情動に関連する脳の部位の炎症の程度を調べています。

 また、研究者らは肥満と精神症状をきたしたマウスに抗菌薬を服用させると、脳内のインスリンシグナル伝達を改善しその結果として肥満が解消されること、さらに不安や抑うつ状態を改善させることを示しました。研究に用いられた抗菌薬はメトロニダゾールとバンコマイシンです。

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 この研究を都合のいいように読めば、抗菌薬が肥満と精神状態の改善薬になるような印象を受けかねませんが、研究者らはそう言っているわけではありません。むしろ安易な抗菌薬の使用こそが肥満につながるのは冒頭で述べた通りです。

 日ごろから低脂肪を心がけ、腸内細菌の状態を良くしておき、安易に抗菌薬を用いないことが重要です。

参考:毎日新聞「医療プレミア」2017年4月9日「やせ型腸内細菌を死なせる? 抗菌薬の罪」



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