医療ニュース

2019年8月29日 海外で出回っている偽物ワクチンに注意を

 日本のワクチンは高いから海外での接種を検討しませんか。

 これは私がよく患者さんに話すことです。過去数年は円安傾向に進んだことで海外との薬の差はさほど大きくなくなってきたと言われていますが、例外のひとつがワクチンです。例を挙げると、麻疹・風疹・おたふく風邪のワクチンを日本で接種すると、少なくとも15,000円はします。これを、例えば私がよく推薦するタイのマヒドン大学内にある「Thai Travel Clinic」で接種すればわずか7ドル(もしくは227バーツ)です。20倍近く違うわけですから日本での接種が馬鹿らしくなるのではないでしょうか。ちなみに、私自身もこのクリニックでいくつかのワクチン接種をしています。

 しかし、その安いワクチンが偽物である可能性がないかについては充分に注意しなければなりません。2018年後半からフィリピンで偽物の狂犬病ワクチンが出回っており、WHOが2019年7月16日付けで注意喚起を出しました。

 当初出回っていた偽物ワクチンは商品名が「Verorab」というものだけでしたが、最近は「Rabipur」、「SPEEDA」、さらに狂犬病の治療薬である ERIG(ウマ抗狂犬病免疫グロブリン)の偽物も確認されているようです。これらはWHOの注意喚起に写真も載せられています。見る者が見れば「怪しい」と感じますが、ぱっと見ただけでは本物と区別がつかないものもあります。

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 では、海外ではワクチン接種を控えた方がいいのでしょうか。100%の保証ができるわけではありませんが、日本人が運営に関与しているところや日本人医師がいるところならまず安心です。しかしこういうところは日本よりは安いものの少し値段が高いようです。

 個人的には、先述したタイの「Thai Travel Clinic」か同じくバンコク内の通称「スネーク・ファーム」と呼ばれている「Immunization and Travel Clinic」がお勧めです。狂犬病ワクチンは、それぞれ347バーツ、350バーツ(約1,200円)です。ちなみに太融寺町谷口医院(以下「谷口医院」)では15,000円ですから12.5倍も高いことになります。もちろん谷口医院が暴利を貪っているのではなく、これはほとんど仕入れ値と変わらない価格です。

 尚、狂犬病ワクチンは日本ではこれまで日本製しか認可されていませんでしたが、2019年7月後半より(フィリピンで偽物が出回っている)「Rabipur」が承認され谷口医院でもこちらに切り替えています。日本製ワクチンよりも高い効果があることがわかっているからです。