医療ニュース

2021年10月3日 新型コロナのChoosing Wisely

 以前から太融寺町谷口医院では繰り返しその重要性を訴えているChoosing Wisely。一言で言えば「ムダな医療」をなくそう、ということで、新型コロナウイルス(以下、単に「コロナ」)に関しても考えていかねばなりません。

 医学誌「nature medicine」2021年7月5日号に「コロナのChoosing Wisely:患者と医師の10のエビデンスに基づいた推奨 (Choosing Wisely for COVID-19: ten evidence-based recommendations for patients and physicians)」というタイトルの論文が掲載されました。この論文で、コロナのChoosing Wisely10か条が発表されました。最初の5か条は一般市民向け、後半の5か条は医師向けのものです。

<一般市民向け>
#1 公共の場では常に顔面にフィットしたマスクを適切に着用する

#2  屋内での混雑は避ける

#3 コロナを疑う症状があれば検査を受け、症状が軽度でも自己隔離をする

#4  呼吸困難や酸素飽和度が92%以下になった場合は医療機関を受診する

#5  順番が来ればできるだけ早くワクチンを受ける。過去にコロナにかかっていても受ける。

<医師向け>

#6  効果のない(あるいは効果があることが実証されていない)薬を使わない。具体的には、ファビピラビル(アビガン)、イベルメクチン(抗寄生虫薬)、アジスロマイシン(ジスロマック)、ドキシサイクリン(ビブラマイシン)、オセルタミビル(タミフル)、ロピナビル・リトナビル(抗HIV薬)、ヒドロキシクロロキン(抗マラリア薬)、イトリズマブ(日本未発売の乾癬治療薬)、ベバシズマブ(アバスチン)、インターフェロン-α2b、フルボキサミン(抗うつ薬)、回復者の血漿、ハーブ製剤などは使うべきでない

#7 レムデシビルやトシリズマブ(アクテムラ)を使用するときは適用を見極める

#8  ステロイド薬は低酸素血症がある場合にのみ慎重に使用する。使用時には血糖値をモニタし、正常範囲を維持する

#9 治療方針を決定する目的以外でCTの撮影や血液検査をルーチンで行わない

#10 コロナ流行中にもコロナ以外の重症な疾患を見過ごさない

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 当然といえば当然のことばかりです。無駄な検査や治療はいつも控えることを考えねばなりません。

 ワクチンが普及した今、「スパイク蛋白の抗体(S抗体)の検査をむやみやたらにおこなわない」という一文を入れたいと個人的には思っています。