医療ニュース

2022年5月16日 寝室が明るいと血糖値と心拍数が上昇する

 睡眠が健康に重要なのは疑いようがなく、少しでもいい睡眠が取れるようにできることは何でもしたいと考える人が大勢います。過去の医療ニュース「2021年2月28日 睡眠環境の見直しで人生が変わる」では緑の多い地域に住めばいい睡眠がとれるという研究を紹介しました。

 緑の多い地域に引っ越すのは大変ですが、今回紹介する方法は誰もが本日から実践できます。医学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」2022年3月14日号に「睡眠中に光に当たると心臓の機能が損なわれる(Light exposure during sleep impairs cardiometabolic function)」という論文が掲載されました。

 論文の結論は「照明を付けたまま睡眠をとると、インスリン抵抗性が亢進し(つまり血糖値が高くなり)、心拍数が高くなり、心拍変動が低下する(緊張状態が続く)」です。
 研究の対象者は20人の健康な若年成人で2晩施設に泊まってもらっています。10人ずつ2つのグループに分け、第1グループは2晩連続で3ルクスの暗い部屋で眠ってもらい、第2グループは最初の晩は第1グループと同様3ルクスの部屋で、翌晩は100ルクスの明るい部屋で眠ってもらい、その差が比較検討されました。

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 この研究が物語っているのは、人間は暗いところでリラックスできる(緊張状態が緩和され交感神経が落ち着く)ということです。就寝時には電気を消す(暗くする)べきなのは当然です。

 私は個人的には朝早く起きることを推奨していますが、谷口医院の患者さんのなかには「夜型人間(night person)」もいます。職業でいえば、作家や芸術家の人たちです。こういう人は自分のペースを維持すればいいと思いますが、日中の就寝時に暗くする工夫を促したいと思います。