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2023年10月9日 やせたければ運動は朝にすべし

 谷口医院の患者さんで定期的な運動をしているという人たちに「運動はいつしていますか」と質問すると、「夕方から夜」という人が8割以上で、「朝」と答える人は1~2割しかいません(残りは「決まっていない」「週末のみ」など)。

 私はほとんど例外なく「可能なら運動は朝にしましょう」と話しています。その最大の理由は「朝の運動を習慣にできている人が最も継続できているから」です。では、朝に運動をすると「継続できる」以外にも効果があるのでしょうか。

 どうやら「ある」ようです。医学誌「Obesity」2023年9月4日号に掲載された「中程度から激しい身体活動と肥満の日内パターン: 断面分析(The diurnal pattern of moderate-to-vigorous physical activity and obesity: a cross-sectional analysis)」を紹介します。

 研究の対象者は2003年から2006年の米国国民健康栄養調査 (NHANES) の参加者で定期的に運動をしている合計5,285人です。朝、昼、夜に運動しているのは、それぞれ642人、2,456人、2,187人です。

 運動による体重減少効果は「朝に運動する人」に最も顕著に認められました。BMI(体重÷身長の2乗)でみてみると、平均値は朝に運動、昼、夜で、それぞれ25.9、27.6、27.2と朝に運動する人の体重が最も少ないことがわかります。腹囲でみると、朝、昼、夜のそれぞれが、91.5cm、95.8cm、95.0㎝とやはり朝が一番少ない結果となっています。

 この研究では「座りっぱなし(sedentary)の時間」「摂取カロリー」との関係も検討されています。意外なことに、朝に運動する人は座りっぱなしの時間が最も長いという結果が出ています。意外でないこととして、朝に運動する人は摂取キロカロリーが最も少なく、健康的な食生活をしていました。

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 冒頭で述べたように、谷口医院の経験から言えることは「朝に運動する習慣が継続しやすい」です。継続すれば結果として理想的な体重が維持できて健康を保てます。今回の研究は「継続できるか否か」は調べられておらず、単純に朝に運動すると安定した体重と腹囲を維持できることを示しています。

 しかも、「座りっぱなし」の時間が長くても朝に運動することでそのリスクを低下させられることが示されたわけです。

 ここまではっきりしていれば可能な限り運動は朝にすべきだと言えるでしょう。健康で長生きしようと思えば運動をしないという選択肢はありません。そして、運動の最大の"敵"は「継続が困難」という事実です。

 ならば、「毎朝運動する」を"習慣"にしてしまうのが賢明です。