医療ニュース

2013年5月27日(月) 新型コロナ、人から人への感染がほぼ確実・・・

 2013年の4月末から5月初旬にかけて、世界中で最も注目された感染症は中国で流行した鳥インフルエンザ(H7N9)でしょう。5月末のこの時点で振り返ってみると、流行は収束した様子で、現時点ではこの鳥インフルエンザの人から人への感染は極めて低いと考えられています。

 一方で、人から人への感染がほぼ確実となり、世界規模で要注意とされているのが、2012年秋から少しずつ報告が増えていた新種のコロナウイルスです。この新種のコロナウイルス、中東を中心に流行し、中東に渡航したヨーロッパ人の感染も報告されています。2013年5月17日のWHOの発表によれば、これまでの感染者は40人、死亡者はそのうち半数の20人にものぼります。

 2013年2月の時点では、イギリス当局は、完全には否定していないものの「ヒトからヒトへの感染のリスクは極めて低い」との見解を発表しています。

 しかし、多数の国で同時多発している2013年5月の現状から、WHO(世界保健機関)は、「ヒト・ヒト感染は限定的で、今のところ、ウイルスが大規模な感染を引き起こす能力を持っている証拠は見つかっていない」としながらも、「密接な接触があれば、人から人への感染はありうる」との警告を発表しました(注1)。

 現時点で人から人への感染が発覚しているのは家族内や同じ病室内、それに医療者(2名の看護師と報告されています)です。

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 あまり一般紙には報道されないと思いますが、致死的な新型のウイルスが立て続けに2名の看護師に感染したことを受けて、世界中の医療者は、このウイルスの動向と今後の院内感染予防対策に大変注目しています。

 2003年に大流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)もコロナウイルスの1種です。現在コロナウイルスに対しては特効薬もワクチンもありません。現時点では外務省は、渡航制限は出していないものの、中東に渡航するときの注意勧告をおこなっています(注2)。

 あまり不安を煽りたくはありませんが、フランスでは第1例と同じ病室に入院していた患者1人も感染したそうです。中東では国にもよりますし、その病院の衛生レベルにもよるでしょうが、もしも中東諸国で入院する事態になったときは院内感染のリスクにも注意すべきでしょう。

(谷口恭)

注1:WHOの発表「Novel coronavirus summary and literature update ? as of 17 May 2013」は下記のURLで参照できます。
http://www.who.int/csr/disease/coronavirus_infections/update_20130517/en/index.html




参考:
○新種のコロナウイルス感染症について(更新15)(検疫所ホームページ)
http://www.forth.go.jp/topics/2013/05161025.html  
○コロナウイルス(HCoV-EMC)重症感染症(国立感染症研究所ホームページ)
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/ka/hcov-emc/2186-idsc/2686-novelcorona2012.html

医療ニュース
2013年2月15日「新種のコロナウイルス、世界10例目と11例目」