医療ニュース

2009年1月27日(火) 一般市民によるAED救命率が42.5%!

 AED(自動体外式除細動器)が随分普及してきています。空港、コンサート会場、フィットネスクラブなどには必ずといっていいほど置かれているように思われます。太融寺町谷口医院にも昨年(2008年)の秋からAEDを設置しています。

 2007年、一般市民がAEDを使って救命措置をおこなった心肺停止の人の1ヶ月後の生存率が42.5%にものぼることが、総務省消防庁の調査でわかりました。(報道は1月23日の毎日新聞)

 42.5%という数字がピンとこない方もおられると思いますが、救急の現場を経験したことのある医療者なら、この数字の高さに驚かされます。少し前までは、一般市民がAEDを使用することはなく、心肺停止になると救急車が到着して初めて救命措置が開始されたわけですが、その頃の救命率とは比べ物にならないほどです。

 調査結果を詳しくみてみると、2007年に市民の目の前で心肺停止状態となりAEDの措置を受けた287人のうち、1ヵ月後も生存していたのは122人(42.5%)で、うち102人(35.5%)は日常生活をほぼ支障なく送れるまで回復しています。一方、AED措置を受けなかった人の1ヶ月後生存率は9.7%にとどまるそうです。

 消防庁は、「一般市民の迅速な救命手当てが非常に重要だと明らかになった」と分析しています。

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 救急の現場にいると、心肺停止の状態から心拍が再開したとしてもそのまま意識が戻らないことをよく経験します。それだけに、1ヵ月後の生存率42.%という数字以上に、35.5%が日常生活を支障なく送れているということに驚きます。

 AEDは数を増やすだけではあまり効果がありません。AEDの使い方だけでなく一次救命処置をより多くの方がおこなえるようになれば、もっともっと救命率が上がるのは間違いありません。

(谷口恭)

参考:
医療ニュース 2007年2月20日「沿道配備のAEDが心肺停止の2人を救う」
メディカルエッセィ2007年1月号「あなたはAEDが使えますか」
しゃべるカラダ№9 「救命の主役は"大阪のおばちゃん"」
しゃべるカラダ№10 「心肺蘇生は愛と勇気とハイテンション!?」