医療ニュース

2010年11月4日(木) 睡眠不足は脂肪を蓄積

 睡眠不足があるとやせない、というのは何となくイメージできることですが、これを科学的に実証した研究が報告されました。

 医学誌『Annals of Internal Medicine』2010年10月5日号に掲載された論文(注)によりますと、ダイエット中に睡眠不足があれば、体重は減るものの脂肪が減ってくれないようです。

 この研究では、10人のボランティア(うち7人が男性)が摂取カロリーを1,500kcalに制限したダイエットをおこない、睡眠時間8.5時間と睡眠時間5.5時間をそれぞれ2週間経験しています。両者をおこなうのに3ヶ月のインターバルをとっています。

 その結果、2週間後の体重減少は、8.5時間睡眠時が2.9kg、5.5時間睡眠時が3.0kgと有意な差がないものの(0.1kgの差は有意な差ではありません)、脂肪だけでみてみると、8.5時間睡眠時には1.4kgの減少なのに対して、5.5時間睡眠群では0.6kgしか減少していないことが分かりました。

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 なぜ睡眠不足があると脂肪が減らないかに関して、研究者は、グレリンというホルモンに注目しています。つまり、睡眠不足→グレリン上昇→空腹感上昇と同時に脂肪を蓄積させるように働く、というメカニズムを考えています。

 グレリンというホルモンは、一言で言えば、「食欲をおこすホルモン」です。生物学的に考えれば、睡眠不足にある状態というのは生命が脅かされるような危機的な状態(敵がいつ迫ってくるかわからない、食料不足で寝る時間を削って食べ物を探さなければならない、など)にあるわけで、そんなときには脂肪が蓄積される方がいいですし、空腹感を感じて食に対する欲求が強まった方が生き延びやすいと言えます。ですから、睡眠不足→グレリン上昇は理にかなっているといえます。

 ちなみに、食欲を考えるときに重要なもうひとつのホルモンにレプチンがあります。レプチンはグレリンとは逆に、満腹感を感じるように働き、脂肪の代謝を促進させます。レプチンを一言で説明すれば、「やせるホルモン」で、レプチンの働きにくい体質であれば太りやすいと言えます。実際、レプチンの遺伝子異常があり充分なレプチンが産生されない家系では肥満の家系となることが分かっています。しかし、一般に肥満がある人のレプチン濃度は高値を示します。これは、レプチンは分泌されるもののそのレプチンに細胞が反応しないからです。(これを「レプチン抵抗性」と呼びます)

 遺伝子を後天的にいじることはできませんから(将来できるようになるかもしれませんが倫理的に問題があります)、ダイエットをしたい人は「しっかりと睡眠をとることでグレリンの過剰分泌を防ごう」という程度の意識をもつようにすればどうでしょう。

(谷口恭)

注:この論文のタイトルは、「Insufficient Sleep Undermines Dietary Efforts to Reduce Adiposity」で、下記のURLで概要を読むことができます。

http://www.annals.org/content/153/7/435.abstract

参考:メディカルエッセイ第93回 「ダイエットの2大法則」 (2010年10月)

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