医療ニュース

2010年1月27日(水) 高血圧の半数の人が受診せず

 高血圧の診断を受けているのに医療機関を受診していない人が約半数にも上る・・・

 これは、「糖転移ヘスペリジン・ビタミンP研究会」という民間の研究会がインターネットを通しておこなった調査結果です。(報道は1月26日のキャリアブレイン)

 調査は2009年11月20日から22日におこなわれています。インターネットのリサーチ会社に登録している人から無作為に選んだ「血圧が正常」の20~40代の男女300人と、「高血圧と診断されたことがある」20~40代の男女300人から回答を得ています。

 調査によりますと、「高血圧と診断されたことがある」人が受診したのはわずか52.0%という結果となっています。年代別にみると、40代で58.0%、30代50.0%、20代48.0%と、若い世代ほど医療機関を受診していないことが分かります。

 「なぜ受診しないのか」については、「生活習慣を変えることで改善しようと思ったから」(35.4%)、「自覚症状がなかったから」(27.1%)、「放っておいても問題が無いと思ったから」(12.5%)、「治療費が高額になると思ったから」(10.4%)となっています。

 「日頃血圧の値を気にしているか」については、「気にしている」が52.3%なのに対し、「気にしていない」が47.7%に上っています。

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 若い世代で受診していない人が多いというのが気になります。高血圧は生活習慣や遺伝からくる場合が多いのですが(これを「本態性高血圧」と呼びます)、特に若い世代では、何か別の病気があってそこから高血圧が生じることもあります(これを「二次性高血圧」と呼びます)。二次性高血圧の場合、高血圧が別の病気のサインになっていることもあるわけです。そして、その元の病気を治せば高血圧も治る場合も多いのです。ですから、健康診断などで血圧が高いと言われれば放置しておくのはよくありません。

 また本態性高血圧の場合でも、放置しておくことには大いに問題があります。脳梗塞や心筋梗塞といった心血管障害のリスクは、メタボリックシンドロームよりもむしろ高血圧で高いという報告もあります。

 高血圧の場合、「自覚症状」が出てからでは"すでに遅い"可能性もあります。血圧が高いことを指摘されれば早めに受診するようにしましょう。

(谷口恭)

参考:
医療ニュース2009年5月1日「高血圧はメタボより危険!」
医療ニュース2009年10月26日「喫煙+高血圧+高コレステロール=寿命10年短縮」