医療ニュース

2010年2月11日(木) ビタミンDが不足すると喘息が悪化

 喘息を持っている人のビタミンDの濃度が低くなると症状が悪化しやすい・・・

 これは医学誌『American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine』オンライン版1月28日号に掲載された論文で紹介されている研究報告です。(下記注参照)

 研究者らは、喘息患者54例のビタミンD濃度を測定し、肺機能、気道過敏性、ステロイド治療に対する反応を評価しています。血中ビタミンD濃度が低い患者では、肺機能および気道過敏性が濃度が高い患者に比べて悪いという結果が出ています。ビタミン濃度が30ng/mL未満の患者の気道過敏性は、それよりも高い患者のほぼ2倍となっています。(気道過敏性が高くなると喘息症状はでやすいと言えます)

 また、ビタミンD濃度は患者のステロイド系喘息治療薬に対する反応を予測できると研究者は言います。ビタミンDは、喘息患者に直接的に関与する形で免疫系あるいはステロイド反応を修飾する物質として作用すると思われる、と述べられています。

 さらに、研究では、「最も体重の重い患者ではビタミンD濃度が最も低かった」という結果もでています。

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 要するに、「ビタミンDの濃度が低いと喘息症状を悪化させるだけでなく、治療をしても改善しにくい」、という結論が導き出されたというわけです。そして、「肥満があると、ビタミンDの濃度が低くなってしまう」というわけです。

 つい最近も、ビタミンDを積極的に摂取すれば大腸ガンの予防になる可能性がある、というニュースをお伝えしたばかりですが、ビタミンDは今後さらに注目されることになるかもしれません。

 早速、喘息がある人もない人もビタミンDをサプリメントで・・・、と言いたいところですが、ビタミンDは摂取しすぎると過剰摂取による弊害も考えなければなりません。何らかのガイドラインの制定を望みたいところです。

(谷口恭)

注 この論文のタイトルは「Vitamin D Levels, Lung Function and Steroid Response in Adult Asthma」で、下記のURLで全文を読むことができます。

http://ajrccm.atsjournals.org/cgi/content/abstract/200911-1710OCv1?maxtoshow=&hits=10&RESULTFORMAT=&author1=Sutherland&searchid=1&FIRSTINDEX=0&fdate=1/1/2010&resourcetype=HWCIT

参考:医療ニュース2010年2月1日「ビタミンDの不足は大腸ガンのリスク」