医療ニュース

2010年4月3日(土) やはりビタミンB6は大腸ガン予防に有効か

 男性はビタミン6の積極的摂取で大腸ガンが予防できるかもしれない、という調査結果が日本の厚生労働省から発表されたというニュースを以前お伝えしましたが(下記医療ニュース参照)、スウェーデンでの研究でも似たような結果が出たようです。

 ストックホルムのカロリンスカ(Karolinska)研究所のSusanna C. Larsson氏らは、ビタミンB6と大腸ガンの関連性についての過去の研究結果のメタ分析(注)をおこないました。その結果、大腸ガンのリスクは、ビタミンB6の摂取量が多いほど低く、血中ビタミンB6の濃度が高ければそれだけリスクが低下する、という結論が導かれています。

 分析は、米国の5つの研究、欧州の2つの研究、アジアの2つの研究の合計6,064例が対象とされています。ビタミンB6は、食事もしくはサプリメントと食事によって摂取されており、サプリメントのみの調査はありません。

 分析を通して分かったこととして、ビタミンB6を多く摂取している人は、高齢、身体活動量が多い、喫煙者は少ない、アルコールの摂取が少ない、という特徴があったことがあげられます。

 したがって、研究者は、「ビタミンB6の摂取は健康的な生活と関連する傾向があり、それが大腸ガンの発生予防に働いている可能性もある」、と述べていますが、「それを取り除いても、ビタミンB6の摂取及び血中濃度が高ければ高いほど大腸ガンのリスクは下がることが分かった」、と結論付けています。

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 この論文のタイトルは、「Vitamin B6 and Risk of Colorectal Cancer」で、下記のURLで一部を読むことができます。

http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=185551

 ビタミンB6は、大腸ガンだけでなく心疾患にも有効とする疫学的調査もあり、今後さらに注目されることになるかもしれません。では、どのような食品を積極的にとればいいのかというと、例えばビタミンCなら野菜や果物、ビタミンAならレバー、のような分かりやすいものがありません。

 ビタミンB6が比較的多く含まれている食品は、玄米、ニンニク、ソバ、鶏肉、豚肉、魚、などですが、いずれも比較的普段から食べているもの、もしくはあまり大量には食べられないものであり、結局は「バランスのいい食事をとりましょう」、ということになります。ではサプリメントでビタミンB6を摂ればどうか、という点が気になりますが、これについては充分な研究がない、というのが現状です。

(谷口恭)
 
注:メタ分析とは、過去に行なわれた複数の研究結果を統合し、より信頼性の高い結果を求めることを目的とした分析を言います。

参考:医療ニュース
2007年8月4日「大腸がんの予防、男性ビタミンB6、女性はコーヒー」
2008年6月1日「心疾患の予防にはビタミンB6」