医療ニュース

2011年10月26日(水) 女性は中年期の適量の飲酒で高齢期が健康に

 中年期に適量(moderate amounts)のアルコールを摂取する女性は、全く飲まない人に比べて高齢期の健康状態が心身とも良好・・・。

 このような研究結果が医学誌『PLoS Medicine』2011年9月6日号(オンライン版)に掲載されました(注)。この研究では、1980年代に中年(中央値58歳)で、70歳以上まで生存した米国の看護師13,894人が対象となっています。元々、大酒家やアルコール依存のある人は対象から除外されています。高齢(70歳以上)になっても慢性疾患や心身障害のみられない対象者1,491人(全体の11%)を、何らかの疾患を抱えている対象者と比較しています。
 
 その結果、高齢期に健康状態良好のグループでは、全く飲酒をしない人は22%にとどまり、62%の人が1日1杯の飲酒(アルコール15グラム)をたしなんでいたことが分かったそうです。また、約10%は1日1~2杯、3%は2~3杯の飲酒をしていたそうです。
 
 飲み方については、習慣的に適量の酒を飲む方が、ときどきしか飲まないよりも有益であることがわかったそうです。

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 アルコール15グラムというのは、ビールなら中瓶1本程度、日本酒なら1合程度、ワインならグラス1杯くらいと考えていいでしょう。

 アルコールに関する調査は、有害とするものもあれば有益とするものもあります。アルコールの苦手な人がこの調査結果に影響を受けて、新たに飲酒を始める必要はありません。
 
 アルコールを有益とする調査も、今回の研究と同様に、ビールで言えばせいぜい中瓶から大瓶1本程度です。大量飲酒が健康にいいとする調査は(皆無ではありませんが)ほとんどないということはしっかりと認識すべきでしょう。
 
(谷口恭)
 
注:この論文のタイトルは、「Alcohol Consumption at Midlife and Successful Ageing in Women:
A Prospective Cohort Analysis in the Nurses' Health Study」で、下記のURLで概要を読むことができます。
 
http://www.plosmedicine.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pmed.1001090

参考:医療ニュース
2010年4月8日 「適度な飲酒は女性の体重増加を抑制」
2011年9月10日 「適度な飲酒がアルツハイマーを予防」
2007年2月6日 「女性の飲酒はC型肝炎をより悪化させる」
2009年10月8日 「酒飲みの女性は乳ガンになりやすい」