医療ニュース

2012年4月13日(金) 東京では「いきなりエイズ」が大きく減少

 エイズを発症して初めてHIV感染に気付く、いわゆる「いきなりエイズ」が2011年に過去最高水準であったということを先月お伝えしましたが(下記医療ニュース参照)、東京では過去10年間で最少だったようです。
 
 東京都によりますと、2011年1年間で都内で新たに報告された「いきなりエイズ」は前年より23人少ない84人で、これは過去10年で最少となるそうです。東京都では、(エイズを発症していない段階で)新たにHIV感染が判った人は325人で、これは前年から77人減少しているそうです。
 
 感染者(合計409人)の内訳をみてみると、日本人男性353人、外国人男性30人、日本人女性19人、外国人女性7人となっています。年齢別でみてみると、いきなりエイズでは30~40代に多く、エイズを発症していない感染者は20~30代に多い傾向にあります。
 
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 東京都では、検査件数は前年より3%増加しているそうです。また、いきなりエイズも含めた新たにHIV感染が判った総数に対するいきなりエイズの割合は全国平均では31%なのに対し、東京都では21%とかなり低くなっています。
 
 これは、東京都では他道府県に比べて、HIVに対する啓発運動が功を奏して早い段階で検査を受ける人が増えているということを意味します。ということは、予防に関心をもつ人も増えていることが予想されますから、将来的には大きくHIV感染が減少することも期待できます。
 
 東京でHIVが新たに判る総数が大きく減少しているのにもかかわらず全国総数で減少していないということは、他道府県では東京都とは逆に増加傾向にあるということです。他道府県の医療者、教育者、行政に携わる者は東京都を見習わなければなりません。
 
(谷口恭)

参考:医療ニュース2012年3月2日 「減らない「いきなりエイズ」」