医療ニュース

2013年7月29日 頭頂部のAGA(男性型脱毛症)は前立腺ガンのリスクにも

   以前、男性型脱毛症(以下、AGA)は心筋梗塞のリスクになるかもしれない、という情報をお伝えしましたが(下記医療ニュースを参照ください)、今度は男性型脱毛症は前立腺ガンのリスクになるかもしれない、という研究がありましたのでお伝えいたします。

 医学誌『Journal of the American Academy of Dermatology』2013年2月8日号(オンライン版)に掲載された論文「Androgenetic alopecia and risk of prostate cancer: A systematic review and meta-analysis」によりますと、AGAと前立腺ガンは、類似のリスク因子を有しており関連性があると考えられるそうです。

 研究は、米国オハイオ州クリーブランドのクリーブランドクリニックのAline Amoretti氏らによっておこなわれています。これまでに発表されている合計7件の研究報告(被験者は合計8,994例)を総合的に解析して(これをメタ分析と呼びます)、AGAと前立腺ガンの関係が調べられています。

 その結果、頭頂部のAGAがあれば前立腺ガンを発症するリスクが25%上昇するという結論が導かれたようです。

 興味深いことに、これは頭頂部のAGAのみであり、すべてのAGAと前立腺ガンには有意な関係が認められなかったそうです。

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 大変興味深いことに、以前お伝えした心筋梗塞のリスクもやはり頭頂部のAGAに限ってのことでした。

 心筋梗塞も前立腺ガンも、男性にとっては大変重要な疾患です。頭頂部のAGAが始まった人はこれら疾患の予防をすべきかもしれません。

 将来的に遺伝子レベルの研究がおこなわれ(あるいはiPS細胞の研究が発展し)、頭頂部のAGAを防ぐことができて、同時に心筋梗塞と前立腺ガンの発症も抑えられる、そんな画期的な発見を期待したいと思います。


(谷口恭)

参考:医療ニュース2013年5月13日「男性型脱毛症(AGA)は心筋梗塞のリスク」