医療ニュース

2007年2月14日(水) HAM患者会が難病指定を求めるが・・・

 HAMという病気をご存知でしょうか。

 HAMの正式名称は「HTLV-1関連脊髄症」といいます。HTLV-1はウイルスの名前で、人の血液、母乳、精液などに含まれており、血液感染、母子感染、性感染などでヒトからヒトに感染します。

 HAMは発症すると、足のしびれや痛み、歩行障害、排尿障害などの症状が進行し、患者さんの多くは車イスや寝たきりの生活を強いられます。

 2月13日の共同通信に、このHAMの患者団体「アトムの会」を設立し、国に難病指定を求めている49歳の女性の声が報じられています。

 この女性は、輸血によってHTLV-1に感染し、33歳のときHAMと診断されたそうです。この女性は言います。

 「人生が突然裏返るような体験で若い人が苦しんでほしくない。難病に指定し、国が主導して治療法の研究を進めてほしい。原因が分かっていても治療法がなければ、患者の苦しみは同じ・・・」

 HAMは原因がウイルス感染であることが判っているために、国が指定する"難病"には該当しません。このため公費などの援助を受けることもできないのです。

 HTLV-1のキャリア(このウイルスを持っている人)は、日本全国で120万人と推定されています。HAMを発症するのは、キャリア10万人に対し年間3人の割合で、患者数は約1,500人と言われています。

 しかし、このウイルスをもっていると、HAMを発症しなくてもATL(成人型T細胞白血病)という白血病を発症することもあり、こちらも有効な治療法がありません。

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 HTLV-1に感染しているかどうかは血液検査で簡単に分かります。輸血、危険な性交渉(unprotected sex)などの経験のある方は一度調べてみてはいかがでしょうか。

参考:HTLV-1感染症