医療ニュース

8/2 メンソール系のタバコが規制される可能性

 2013年7月23日、FDA(米国食品医薬品局)は、メンソール系のタバコは非メンソール系のタバコに比べて依存性が高いことを報告し、将来的には販売中止も視野に入れた規制をおこなうことを検討すると発表しました(注1)。

 FDAによれば、ミントの香りのするメンソール系のタバコには爽快感・清涼感があり、非メンソール系のタバコに比べるとタバコの不快感が減少するそうです。そして、非メンソール系のタバコに比べて、依存性がより強くなることを指摘しています。

 FDAによれば、現在米国では死因の約5分の1がタバコによるもので、全喫煙者の3分の1に相当する2,000万人以上がメンソール系のタバコを吸っているそうです。若者だけに限れば4割以上がメンソール系だそうです。人種別のデータでは、アフリカ系の喫煙者の85.6%、他の人種では、ヒスパニック系37.7%、アジア系33.3%、白人26.9%がメンソール系のタバコを吸っているそうです。

 FDAは、今後意見募集をおこない、将来的には販売の規制を検討するようです。

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 以前別のところ(下記コラム参照)で述べましたが、私自身はおよそ20年間メンソール系のタバコの愛好家でした。周囲が次々と禁煙に成功していくなかで、私は何十回と禁煙失敗を繰り返し自己嫌悪に陥るほどでした。そんななか、メンソール系のタバコは禁煙しにくいという論文をみつけ(下記コラムの注釈で紹介しています)、長年の自分の経験と合致していることを実感しました。

 おそらくメンソール系のタバコが非メンソール系のものより依存性が高いことはこれから次々と実証されていくでしょう。依存性が高いのであれば、現在FDAが検討しているように規制(もしくは販売中止)を検討すべきです。(ちなみに、私は、禁煙して5年以上が経過しますが、今でもメンソール系タバコの"さわやかな夏"を連想させるあの<清涼感>がときどき脳内によみがえり無性に吸いたくなることがあります)

 しかし、私を含めてメンソール系の元愛煙者で禁煙に成功している人もいくらでもいます。もしもあなたがメンソール系に依存しているなら、時間がかかったとしても必ず断ち切れますから諦めないで禁煙に取り組みましょう。

(谷口恭)

注1:FDAのニュースリリースのタイトルは「FDA invites public input on menthol in cigarettes」で、下記のURLで読むことができます。
http://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm361966.htm



参考:はやりの病気
第66回(2009年2月)「メンソールの幻想と私の禁煙」
第32回(2006年5月)「そろそろ本格的な禁煙を!① 」
第33回(2006年6月)「そろそろ本格的な禁煙を!② 」
第34回(2006年6月)「そろそろ本格的な禁煙を!③(最終回)」