医療ニュース

2015年2月6日 男性の喫煙は痛風を抑制

  私は元喫煙者ですが、現在の立場は「すべての人が禁煙すべき」というものです。自分が喫煙していた頃は、禁煙推進者から「タバコには何のメリットもない」と言われると、「わずか5分間でリラックスできることと、喫煙所で友達ができることは明らかなメリットだ!」と反論していたのですが、医師になってからはこのようなことも言わなくなりました。

 喫煙が身体にも精神にも有害だとする研究が相次ぎ、誰もが禁煙すべきというのは自明でしょう。しかし科学は公平でなければならず、盲目的になってはいけません。喫煙が身体に良いという研究があれば伏せてはいけないのです。

 男性の喫煙は痛風の発症を抑制する・・・

 この意外な結論が導かれた研究が医学誌『Rheumatology』2015年1月号(オンライン版)に掲載されました(注1)。

 この研究は、研究開始時に痛風をおこしたことがなかった米国人の男性2,279人と女性2,785人を対象とし、1948年~2002年となんと最長54年間もの追跡データを解析しています。この間に痛風を発症したのは合計399人(男性249人、女性150人)です。発症者を喫煙者と非喫煙者に分けて発症率を分析したところ、全体(男女合算)では、喫煙者の発症リスクは非喫煙者の0.76倍と、なんとタバコを吸うことにより24%もリスクが低減されるという結果がでたのです。

 これを男女別々で分析すると、男性ではリスクが0.68倍、女性では0.92倍と、女性よりも男性で有意にリスク低下があることが判ったのです。

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 この研究に影響を受けて痛風発作を起こしたことがある人が喫煙を開始する、などということはあってはならないことであり、この論文の執筆者も喫煙をすすめているわけでは決してありません。

 しかし、禁煙を開始した人が、その後尿酸値が高くなり痛風発作を起こすリスクがあるというふうには考えるべきでしょう。禁煙を開始するとほとんどの人は食欲が亢進し、一時的ではありますが体重が増えます。すると高血圧、高血糖、高脂血症という生活習慣病のリスクが上昇します。尿酸値も上がるのであれば、禁煙後の健診は非常に大切になってきます。もちろん一時的にこれらの数値が上昇したとしても、禁煙をおこなうことで生活習慣病のリスクが大きく下がることが最も重要なことです。

 尚、なぜ喫煙で痛風が抑えられるかというメカニズムについては、プリン体から尿酸が生成されるときに必要となる「キサンチンオキシダーゼ」という酵素が、喫煙により不活化されるからではないかと考えられます。

(谷口恭)

注1:この論文のタイトルは「Cigarette smoking is associated with a reduction in the risk of incident gout: results from the Framingham Heart Study original cohort」で、下記のURLで概要を読むことができます。
http://rheumatology.oxfordjournals.org/content/54/1/91.abstract?sid=5c8d98e7-c04e-4eec-b3a8-002a2714ffe2


参考:
はやりの病気第88回(2010年12月)「簡単でない高尿酸血症の食餌療法」

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