医療ニュース

2015年10月26日 女性の飲酒は結局のところ・・・

 いったい飲酒は身体にいいのか悪いのか、男女差はあるのかどうか・・・。世界中でいろんな人がいろんなことを言いますから、何が正しいのか分からなくて混乱している人も多いのではないでしょうか。

 今回はまるで反対のことを言っている2つの研究を紹介したいと思います。1つめの研究は「女性は少量の飲酒でも乳がんのリスクが上がる」とするものです。

 医学誌『British Medical Journal』2015年8月18日号(オンライン版)(注1)に掲載された研究によりますと、女性は1日に350mLの缶ビール1本程度の飲酒でも(主に)乳ガンのリスクが飲まない人に比べて13%上昇することが判ったそうです。この研究は、米国の医療者男性47,881人、女性88,084人が対象とされています。ちなみに男性は(喫煙していなければ)缶ビールであれば2本程度までなら特に発がんリスクは上昇しないそうです。

 もうひとつの研究は、日本人の研究者によるもので、「日本人女性は飲酒により糖尿病が予防できる」という結論が導かれています。医学誌『Journal of Diabetes Care』015年8月12日号(オンライン版)(注2)に掲載されています。

 この研究の対象者は35~60歳の日本人女性18,352人です。対象者を「まったく飲まないグループ」、「ときどき飲むグループ」、「毎日少し飲むグループ」(ビール中瓶1本程度)、「毎日たくさん飲むグループ」(ビール中瓶1本以上)の4つのグループに分けて検討されています。

 その結果、「ときどき飲むグループ」では「まったく飲まないグループ」に比べ糖尿病を発症するリスクが0.82と低く、さらに興味深いことに、「毎日少し飲むグループ」で0.61、「毎日たくさん飲むグループ」でも0.66と、毎日飲酒をすることが糖尿病の予防につながるという結果がでています。

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 では結局のところ、日本人の女性はお酒をどうすればいいのでしょうか。結論をいえば「かかりつけ医と相談しましょう」となります。ここに紹介した貴重な研究を無視するのはよくありませんし、逆にそればかりに目が行き盲目的になるのもよくありません。その人の糖尿病の他のリスクはどうなのか、乳ガンのリスクは高いのか、あるいは他の飲酒が原因とされている疾患についてはどうなのか・・・、そういったことを総合的に考えてかかりつけ医と相談するのが最善です。



注1:この論文のタイトルは「Light to moderate intake of alcohol, drinking patterns, and risk of cancer: results from two prospective US cohort studies」で、下記のURLで概要を読むことができます。

http://www.bmj.com/content/351/bmj.h4238

注2:この論文のタイトルは「Association between Alcohol Consumption and Glycemic Status in Middle-Aged Women」で、下記URLで概要を読むことができます。

http://www.canadianjournalofdiabetes.com/article/S1499-2671%2815%2900489-X/abstract


参考:医療ニュース
2013年10月4日「女性も多量飲酒で脳卒中のリスクが増加」
2011年10月26日「女性は中年期の適量の飲酒で高齢期が健康に」
2010年4月8日「適度な飲酒は女性の体重増加を抑制」


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2018/05/16

2018年4月17日より本ページで予告していましたように、2018年5月16日より麻疹風疹混合ワクチンの接種は、当院をかかりつけ医にしている方(及び当院に一度でも受診したことのある方)に限定させていただきます。