留学生の方・及び留学生をサポートする学校関係者の方へ

海外の高校や大学などに留学するに際し医学的に必要なことがいくつかあります。各自学校の事務局や関係者から指示を受けているようですが、実際にはトラブル(下記トラブル集参照)が多く、結果的に留学できなくなったり、不安な状態で渡航せざるを得ない事態も少なくありません。特に、下記4点に注意してください。


 ①診断書作成やワクチン接種などで医療機関受診が必要になりますが、初回受診が遅すぎるケースが目立ちます。初回の相談はできるだけ早く、目安としては半年前くらいが理想です。

 ②病気を有している場合や定期薬が必要な場合は、原則として診断書の作成は現在かかっているかかりつけ医がおこなわなければなりません。(前ページ注意(1)参照) ただ、一部の医療機関では英文診断書を作成しないところもあるようで、そういった場合は作成可能な医療機関を探さねばなりません。当院でも承りますが、場合によってはこれまでのかかりつけ医に連絡を取る必要もありますから、できるだけ早く相談するようにしてください。

 ③感染症への理解が不十分なケースが目立ちます。留学先の大学から求められているワクチンを接種するには半年前から開始しなければならないことがありますし、国や地域によっては大学から求められていなくても自身の身を守るために接種しておくべきものもあります。また、ワクチンで防げない重要な感染症もあり知識を身につけなければなりません。

 ④結核及びツベルクリン反応に関する「誤解」がしばしばあります。米国ではBCG接種をしませんから、結核感染の判定にツベルクリン反応が有効ですが、日本ではBCGを接種していますから結核に感染していなくてもツベルクリン反応は陽性になります。このため、米国の大学がツベルクリン反応を求めていても、初めからレントゲン撮影(もしくは血液検査)で結核に感染していないことを証明するのが一般的です。この点を誤解している関係者がいて結果的に不要なツベルクリン反応をしている留学希望者がいますので注意してください。(尚、最近は一部の米国の大学で、BCGの接種歴があっても、まずツベルクリン反応を必ず実施し、その後レントゲン(もしくは血液検査)をおこなうことを求めるところもあります)
 


初めての長期海外滞在となる方が多く、分からないこと、不安なことがたくさんあると思います。ご質問があれば当院にメールいただければ返答いたします。(メールは何度されても無料ですし、メールされたからといってその後必ず受診しないといけないわけではありませんのでお気軽にご連絡ください) 一方、電話での対応はできません。


<海外留学でのトラブル集>


【トラブル1】留学に際し、英文診断書が必要であることは分かっていたが、医療機関を受診すればすぐにもらえるものと思っていた。しかし、留学先の大学から求められている検査項目に結果がでるまでに1週間以上かかるものもあり、出発までに間に合わなかった。

【トラブル2】某国に留学した。事前に注意を聞いておらずB型肝炎のワクチンを接種していなかった。留学先で交際することになった相手から感染し入院することになった。一命はとりとめたものの途中で帰国せざるを得なくなった。

【トラブル3】気管支喘息があるが日本では安定していたために発作時の薬のみ持参して英文診断書や紹介状は持って行かなかった。現地で症状が出現し、医療機関を受診したが英語が通じずに治療を拒否された。

【ト ラブル4】抑うつ状態と不安感があり、過去に心療内科を受診していたことがある。留学前は安定していたために、頓服の薬だけ持参して渡航した。現地の慣れない環境のせいで精神的に不安になったが、英語で症状を伝える自信がなく、症状が悪化し、周囲に促されて帰国した。海外には持ち込んではいけない薬を持って行っていたことを後から知って怖くなった。

【トラブル5】高熱と皮疹で現地の病院を受診するとデング熱で入院することになった。蚊の対策は夜だけでいいと思っていて、昼間はDEETも使わずに半袖半ズボンで過ごしていた。



2016年11月15日更新
太融寺町谷口医院
院長 谷口恭