医療ニュース

2013年1月31日(木) 自殺者が3万人を切ったものの・・・

 すでに多くのマスコミで報道されていますが、2013年1月17日、警察庁は2012年の自殺者数を発表しました。1年間の自殺者数は合計27,766人で1997年以来15年ぶりに3万人を割ったことになります。12月分については「速報値」となっていますが、大きく変動することはないでしょうから、「15年ぶりに3万人を切る」は確定となります。
 
 月別、都道府県別の自殺者数が細かく報告されていますので詳しくはそちらを閲覧いただきたいのですが(注1)、ここでいくつかポイントをまとめておきたいと思います。

 まず、男女別の数字は、男性が19,216人で2011年より1,739人の減少、女性は8,550人で1,146人の減少となっています。

 都道府県別では、第1位が東京都で2,760人、大阪府1,720人、神奈川県1,624人と続きます。最も自殺者が少なかったのは、鳥取県の130人で、徳島県164人、島根県168人と続きます。
 
 月別では、前年比で3月が4.9%、2月0.4%、10月0.1%の増加ですが、それ以外の月ではすべて減少しています。特に、5月は25.5%、6月は24.1%と大幅減となっています。自殺者が最も多い月は3月で2,584人、5月2,516人、4月2,434人と続いています。
 
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 自殺者が15年ぶりに3万人を割ったという歓迎すべきニュースが報じられた一方で、12月に大阪府の桜宮高校で教師の体罰が原因で高校生が自殺していた、という大変ショッキングな事件が報道されました。
 
 これまでの15年間は、山一證券の倒産(1997年末)あたりではずみがついた中高年男性の自殺が最も注目されていましたが、今後は若い世代の自殺に注目すべきでしょう。(下記医療ニュースも参照ください)
 
 警察庁のグラフをみれば、東日本大震災のあった2011年を除けば、過去5年間の日本の自殺者数は2月に下がって、3月に急上昇していることがわかります。(震災のあった2011年は3月から5月にかけて自殺者が急激に増えました) 
 
 なぜ3月に自殺者が増えるのか\\。今のところこれを合理的に説明する理論はないと思われますが、過去がそうである以上今年も同様になることが予想されます。あなたの周りにSOSを出している人がいないかどうか、改めて考えてみるべきかもしれません。もちろん、あなた自身が自殺を考えているとすれば、誰かに相談すべきです。誰に相談していいかわからない...、もしそうなら厚生労働省の専用サイト(注2)にまずはアクセスしてみてはどうでしょう。
 

注1 警察庁が発表した詳細については、下記のURLを参照してください。
 
http://www8.cao.go.jp/jisatsutaisaku/toukei/pdf/saishin.pdf


注2 厚生労働省の「みんなのメンタルヘルス」のURLは下記の通りです。充実したメンタルヘルスの総合サイトで、相談先も紹介されています。

http://www.mhlw.go.jp/kokoro/index.html


参考:医療ニュース
2012年7月29日 「若者の自殺が原因で平均寿命短く?」
2012年5月11日 「20代女性の3人に1人は「自殺」を...」
2012年3月21日 「日本の自殺者、14年連続で3万人超」