医療ニュース

2008年11月22日(土) ヒト顆粒球エーリキア症が中国で発生

 エーリキア症という感染症をご存知でしょうか。現時点では日本では報告がありませんが、リケッチアの一種であるエーリキアによる感染症で、重症化すると死亡することもあります。そのエーリキア症が中国で10人に発症し、そのうちひとりは死亡しています。(報道は11月20日の共同通信)

 報道によりますと、ダニにかまれたとみられる50代の女性が、かまれてから12日後に発熱し、鼻と口から大量に出血し、その5日後に死亡しています。さらにその2週間後、女性を看護していた医療関係者4人と身の回りの世話をしていた家族5人の合計9人が発症し、エーリキア症(正確にはヒト顆粒球エーリキア症)と診断されました。

 この9人はダニにかまれたわけではなく、死亡した女性の血液や体液に手袋をせずに接触したことにより感染したと考えられています。9人中7人は、死亡した女性の気道分泌物(痰など)にも接触した可能性があるそうです。

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 エーリキアはリケッチアの一種で、エーリキア症は3種類の異なるエーリキアによって、それぞれ、ヒト顆粒球エーリキア症、ヒト単球エーリキア症、腺熱エーリキア症と分類されます。

 感染しても発見が早ければ適切な抗生物質を使用することによって治癒する病気ですが、世界的にみても感染例は非常に少なく、「ダニにかまれて発熱、倦怠感」だけでこの病気を疑える医療従事者はほとんどいないでしょう。(と言うより、真っ先に疑うべき感染症ではありません)

 恐るべしダニ・・・、です。

参考:
医療ニュース 2008年8月7日「宮崎の女性がダニに刺されて死亡」
はやりの病気 第60回 虫刺されにご用心
(谷口恭)