医療ニュース

2010年1月21日(木) 日本脳炎ワクチン接種奨励再開の見込み

 日本脳炎ウイルスのワクチンについては、このウェブサイトで何度もお伝えしてきました。2004年に14歳の少女に重篤な副作用が起こったことがきっかけとなり、2005年に「積極的勧奨の中止」が決定されました。副作用の少ない新しいワクチンは2009年2月に承認され2009年の夏頃から接種が始まりましたが「積極的勧奨の中止」は依然継続したままです。

 言わば「空白期間」ができている状態で、感染の危険性が高まっていることは間違いありません。実際、2009年8月には、熊本市の7歳の男児が日本脳炎ウイルスに感染し日本脳炎を発症していたことが分かっています。この男児はワクチン接種を受けていなかったそうです。(報道は1月14日の共同通信)

 この「空白期間」にようやく終止符が打てることになりそうです。厚生労働省厚生科学審議会の小委員会は1月15日、日本脳炎ワクチン接種の「積極的勧奨」を、2010年度から一部再開することを決定しました。2010年度から、1期の対象年齢(生後6カ月~7歳半)の子供がいる家庭に、各自治体が接種を勧める通知をおこなう予定です。

 新しいワクチンはこれまで50万人以上に接種され、副作用の報告は39度以上の発熱9件など合計22件にとどまっているようです。同省の小委員会は、副作用の程度や件数から「安全性が確認された」と判断したようです。

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 ワクチン再開に厚生労働省がゴーサインをだしたことは歓迎すべきことです。副作用のリスクは完全にゼロにすることはできませんが、日本脳炎は死亡率も高く、後遺症を残す可能性も高い、大変重要な感染症ですから、これで少しは安心できそうです。

 しかし、今回の決定では1期の再開のみで、2期(9歳)の接種再開については決まっていません。こちらも早く検討してもらいたいと思います。

(谷口恭)

参考:
はやりの病気 第63回 「日本脳炎を忘れないで!」
医療ニュース 2009年6月8日「日本脳炎新ワクチン、勧奨中止は継続」