医療ニュース

2010年2月8日(月) やはり塩分とり過ぎは3大死因のリスク

 塩分の取りすぎが脳卒中やガンの原因になっている、というのは以前から言われていたことですが、これを検証する調査結果が報告されました。

 厚生労働省の研究班は、2月4日、「1日の間に摂取する塩分が多い人は脳卒中や心筋梗塞といった循環器疾患及びガンになりやすい」という研究結果を発表しました。(報道は同日の日経新聞夕刊など)

 この調査は、8つの県に住む45~74歳の男女約8万人を対象に実施されています。対象者を、塩分摂取量、塩辛や漬物・イクラなど塩漬け食品の摂取量によって5つのグループに分け、6~9年間の調査期間中のガン、循環器疾患の発症状況を調べています。

 その結果、塩分の摂取量が多いグループ(1日当たり平均17.8グラム)は、少ない群(同7.5グラム)に比べて循環器疾患の危険性が最大19%高くなっていました。また、塩漬け食品の摂取量が多いグループは、何らかのガンを発症する危険性が最大15%高いという結果がでています。

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 塩漬け食品とは、漬物、塩蔵魚や干物などであり、これらは、伝統的な日本食で「身体にいい」と言われることもありますから、食生活のなかにどのように取り入れていくかというのはむつかしい問題です。

 なぜ塩漬け食品がガンのリスクになるかというと、1つは胃の中で塩分が増えすぎると胃粘膜が傷つく可能性があります。また、塩漬けの過程で生じるいくつかの化合物が胃ガンや大腸ガンのリスクとなっているのかもしれません。

 参考までに、厚生労働省が推薦している食塩摂取量は、男性で1日10グラム未満、女性で8グラム未満です。

 メタボリックシンドロームが診断基準を巡って(特に腹囲で)議論が分かれるのに対し、塩分過剰摂取→高血圧→3大疾病のリスク上昇というのはほとんどの学者が賛同していることです。ここ数年はメタボ対策が叫ばれていますが、血圧のリスクについても再考すべきでしょう。

(谷口恭)

参考:
医療ニュース2009年5月1日「高血圧はメタボより危険!」
医療ニュース2010年1月27日「高血圧の半数の人が受診せず」