医療ニュース

2011年9月30日(金) RSウイルスがアウトブレイク

 今年は「風邪」が多い年で、この傾向は年末まで続きそうです。このサイトで、リンゴ病(伝染性紅斑)と手足口病が過去最多の報告があるということを紹介しましたが、RSウイルスも過去最多を更新しているようです。
 
 国立感染症研究所感染症情報センターの発表によりますと、RSウイルス感染症の小児科定点医療機関(全国に約3千ヶ所あります)からの患者報告数は6月下旬頃から増加傾向が続き、調査を開始した2003年以降で最多となっているそうです。
 
 同センターの速報値では、9月12~18日の週の報告数は1,414人で、同時期で過去最多だった2008年の993人を大きく上回っています。都道府県別で見ると、大阪の205人が最多で、以下、宮崎160人、東京126人、福岡100人と続いています。
 
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 RSウイルスは冬の風邪の代表的な病原体のひとつです。新生児では重篤化することもありますが、小学生以降の子供や成人ではさほど重症化しません。しかし特効薬があるわけではなく、特に日ごろ不摂生をしているような人が感染すると長期化することもあります。
 
 RSウイルスには迅速診断キットがあるのですが、一般の診療所では保険適用がないために症状から疑うことになります。特効薬はなく、解熱剤、咳止めなどの対症療法しかありません。
 
 ワクチンはありませんが、予防用の抗体はあります。ただし、適用は、早産で生まれた新生児や先天性心疾患を持つ小児に限られます。

(谷口恭)

参考:医療ニュース
2011年7月29日 「手足口病の勢い止まらず」
2011年6月25日 「リンゴ病が過去10年で最多」