医療ニュース

2007年10月16日(火) お酒の代わりにコーヒーを、すい臓ガンを予防

 すい臓ガンに関する興味深い研究があいついで2つ発表されたのでご紹介します。

 ひとつめは、愛知県がんセンター研究所が今月横浜で開催された日本癌学会で発表した報告です。(報道は9月27日の共同通信)

 その発表によりますと、酒を飲むと顔がすぐに赤くなる体質の遺伝子を持つ人は、そうでない人よりすい臓ガンになるリスクが約1.5倍高いそうです。

 「お酒に強い・弱い」というのはアルコールが分解されてできるアセトアルデヒドの代謝能力によります。これらは遺伝子で規定されており、日本人の5割はアセトアルデヒドを正常に代謝できます。このタイプは顔が赤くなりません。4割はこの代謝能力が低く、お酒を飲むと顔が赤くなります。残りの1割は、代謝能力がほとんどなく、そのためお酒がほとんど飲めません。

 ということは、日本人の4割をしめる「お酒を飲むと顔が赤くなるタイプ」の人がすい臓ガンになりやすいということになります。また、このタイプの人は、日本酒換算で1日1合アルコール摂取が増えると、リスクが3割増すそうです。

 もうひとつの発表は、コーヒーとすい臓ガンの関係についてのもので、こちらも今月の日本癌学会で発表されています。(報道は10月9日の共同通信)

 この発表は厚生労働省研究班によるもので、「コーヒーを1日に3杯以上飲む男性は、ほとんど飲まない男性に比べ、すい臓ガンになる危険度が低い」、というものです。

 調査は、全国9府県の40から69歳の男女約10万人が対象で、1990年から平均約11年の追跡期間中に233人が膵臓がんになっています。

 年齢や喫煙などの影響を取り除いてコーヒー摂取量との関係を調べたところ、ほとんど飲まない男性がすい臓ガンになる危険度に比べ、1日に1から2杯飲む男性の危険度はやや低く、3杯以上の男性はさらに低いとの結果で、よく飲む男性ほど危険度が下がる傾向がありました。

 女性では特定の傾向がみられず、緑茶では男女とも摂取量とすい臓ガンの関係はなかったようです。

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 以上をまとめると、お酒を飲んで顔が赤くなる人は、お酒を減らしてコーヒーを飲もう! ということになります。

 それにしても、ここ数年のコーヒーに関する発表はほとんどがいいことだらけで、少し気味悪いほどです・・・。

参考:2007年9月3日 「コーヒーは肝臓癌のリスクを下げる」
はやりの病気第22回(2005年12月)「癌・糖尿病・高血圧の予防にコーヒーを!」