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2019年2月23日 やはりベンゾジアゼピンは認知症のリスク

 ベンゾジアゼピン系(以下BZ)は認知症のリスクになるのかならないのか。これは以前から繰り返し検討されているテーマです。「はやりの病気」第151回(2016年3月)「認知症のリスクになると言われる3種の薬」では、ひとつの大規模調査を紹介し、その結論は「BZは必ずしも認知症のリスクとなるわけではない」でした。

 ですが、今回発表されたメタ分析(これまで発表された研究をまとめなおして総合的に検討する分析)では、この結論がくつがえされています。

 医学誌『Journal of clinical neurology』2019年1月号に掲載された論文「ベンゾジアゼピン長期使用の認知症のリスク~メタ分析による~(Risk of Dementia in Long-Term Benzodiazepine Users: Evidence from a Meta-Analysis of Observational Studies)」によると、BZを用いることにより認知症のリスクが1.51倍となります。さらに、当然といえば当然ですが、作用時間の長いタイプのBZ使用者、長期使用者で認知症のリスクが高くなっています。

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 このサイトで繰り返し述べているようにBZには強い依存性があります。たった1錠飲んだだけで人生が変わるとまでは言いませんが、使用には慎重にならなければなりません。過去に紹介した記憶のないままわが子を殺めた東京の主婦が飲んでいたのは「マイスリー」で、これもBZと同系統の薬剤です。

 医療機関で簡単に処方することはありませんが、ときに患者さんは「前のクリニックでは簡単に処方してくれたのに......」と不満を言います。しかし、依存性が強く、記憶がなくなったり認知症のリスクが上がったりする薬剤を簡単に考えてはいけないのです。

参考:
はやりの病気
第164回(2017年4月)「本当に危険なベンゾジアゼピン依存症」
第151回(2016年3月)「認知症のリスクになると言われる3種の薬」
GINAと共に第152回(2019年2月)「アダム・リッポンも飲むベンゾジアゼピンの恐怖」