医療ニュース

2013年1月8日(火)コーヒーで口腔ガン・咽頭ガンの死亡リスク低下

 1日4杯以上のコーヒー摂取で、口腔ガン及び咽頭ガンでの死亡リスクが半減する・・・

 これは、医学誌『American Journal of Epidemiology』2012年12月9日号(オンライン版)に掲載された研究結果です(注1)。

 この研究は、米国ガン協会(American Cancer Society)のJanet S. Hildebrand氏らによっておこなわれました。同協会が全米の45歳以上の成人男女を対象として1982年に開始した「Cancer Prevention Study II」と命名された調査に参加した1,184,418人のうち、コーヒーおよび紅茶の摂取に関する情報が得られ、1982年の調査開始当時にガンを発症していなかった968,432人が対象とされています。26年間の調査期間中に合計868人が口腔ガン、または咽頭ガンで死亡しています。

 これらのガンによる死亡とコーヒー・紅茶摂取の関係を分析したところ、1日4杯以上のカフェイン入りコーヒーを飲む人は、これらのガンで死亡するリスクが49%減少することが判明したそうです。また、必ず4杯飲まなければならないわけではなく、コーヒー摂取が1杯増えるごとに死亡リスクの低下が認められるそうです。カフェイン抜きのコーヒーでも多少の低下は認められたそうですがその程度はわずかなようです。また、紅茶との間には関連性がなかったそうです。
 
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 口腔ガンも咽頭ガンも、最近ではHPV(ヒトパピローマウイルス)の関連がよく指摘されます。この研究からは、コーヒー摂取によりHPVの増殖を抑制できるのかとか、HPVが感染した細胞がガン化するのを防ぐ作用がコーヒーにあるのか、といったことは分かりません。また、この研究では、コーヒーでこれらのガンによる「死亡のリスクが減る」ということを言っているのであり、これらのガンに「かかりにくい」と言っているわけではありません。
 
 これらのガンの死亡リスクを減らすためにコーヒーをたくさん(1日4杯以上!)飲もうとするのは賢明ではないでしょう。まずはHPV感染を防ぐことを考えるべきかもしれません。といってもHPVの口腔内感染を防ぐにはどうすればいいのかというのがはっきりと分かっているわけではありません。(一部には危険な性交渉、特にオーラルセックスによるものが多いのではないか、と指摘されています)
 
注1:この論文のタイトルは、「Coffee, Tea, and Fatal Oral/Pharyngeal Cancer in
a Large Prospective US Cohort」で、下記のURLで全文を読むことができます。
 
http://aje.oxfordjournals.org/content/177/1/50.full?sid=2fc8e969-5e2f-4a41-87aa-c0980c76648f

参考:医療ニュース
2012年12月3日 「コーヒーも紅茶も生活習慣病に有効」
はやりの病気第22回(2005年12月) 「癌・糖尿病・高血圧の予防にコーヒーを!」    
はやりの病気第30回(2006年4月) 「コーヒー摂取で心筋梗塞!」