医療ニュース

2012年12月3日(月) コーヒーも紅茶も生活習慣病に有効

 コーヒーがいくつかのガンや糖尿病などの予防効果があるという研究についてこのサイトで何度かお伝えしてきましたが、医学誌『Journal of Epidemiology』2012年10月6日号(オンライン版)(注1)に日本の研究者による論文が掲載されましたので紹介しておきます。
 
 この研究は、J-MICCと命名された調査に参加した日本人554人が対象とされており、コーヒーと緑茶とメタボリック・シンドロームとの関連が解析されています。

 その結果は、「コーヒーをよく飲む人ほどメタボリック・シンドロームにかかりにくい」というものだったそうです。もう少し細かくみてみると、コーヒーをたくさん飲む人ほど中性脂肪(トリグリセライド)の値が低くなり、血圧上昇や腹囲増加をきたさない、となっています。また、適量のコーヒー(1日1.5~3杯)で高血糖を防ぐことができる、という結果もでているようです。
 
 興味深いことに、緑茶ではこのような相関関係が一切なかったようです。

 紅茶の研究も紹介しておきましょう。医学誌『BMJ Open』2012年11月8日号(オンライン版)(注2)に、スイスの研究者Ariel Beresniak氏の論文が掲載されました。
 
 この研究は、世界50ヶ国の2009年の紅茶の消費量と、呼吸器疾患、感染症、ガン、心血管疾患、及び糖尿病との関連が調べられています。

 解析の結果、紅茶の消費量が多い国ほど糖尿病の罹患率が少ないことがわかったようです。しかし、先に述べた糖尿病以外の疾患については紅茶消費量との関連性は認められなかったそうです。
 
 この論文によりますと、国民1人当たりの年間の紅茶消費量が最も多いのがアイルランドで2.1576kg、2位がイギリスの1.8137kg、3位がトルコの1.6631kgです。逆に、紅茶を最も飲まない国は韓国で0.0007kg、2位がブラジルの0.001kg、3位が中国の0.0011kgです。
 
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 サプリメントや健康食品の生活習慣病に対する有効性がほとんど検証されないのに対して、従来から多くの人々に愛用されているコーヒーや紅茶が有効というのは興味深いと言えるでしょう。
 
 しかし、一般的に健康によいとされている緑茶に生活習慣病の予防効果がなかった、というのもまた興味深い結果です。

 私は紅茶をほとんど飲まないので消費量をキログラムで示されてもよくわからないのですが、仮に紅茶1杯が2グラムとすれば、平均的なアイルランド人は1日に約3杯(2157.6グラム÷2グラム÷365日=2.9556)飲んでいることになります。
 
 同様の計算をおこなうと、紅茶を最も飲まない国、韓国では平均的な韓国人は3年に1杯しか紅茶を飲まない(0.0007kg=0.7グラム、0.7グラム÷2グラム=0.35杯/年、0.35杯/年x3年=1.05杯)ことになり、医学的ではなく文化的な観点から私にとってはこちらの方が興味深い気がします。
 
 ちなみに、これも医学には関係のない話ですが、紅茶の英語名は一般的にはblack teaで、この論文でもblack teaとされています。紅茶を辞書でみるとred teaという記載がある場合がありますが、私はred teaと話している外国人をみたことがありません。ただしblack teaと言うこともそれほど多くないと思います。西洋人が紅茶のことを指すときは単にteaというのが普通です。日本人が機内などで紅茶を頼むときはteaと言うと、緑茶かな、と思われますから、black teaもしくはEnglish teaと言うのがいいと思います。
 
(谷口恭)

注1:この論文のタイトルは、「Inverse Correlation Between Coffee Consumption and Prevalence of
Metabolic Syndrome: Baseline Survey of the Japan Multi-Institutional Collaborative Cohort
(J-MICC) Study in Tokushima, Japan」で、下記のURLで全文を読めます。
 
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jea/advpub/0/advpub_JE20120053/_pdf   

注2:この論文のタイトルは、「Relationships between black tea consumption and key health indicators in the world:
an ecological study」で、下記のURLで全文を読むことができます。
 
http://bmjopen.bmj.com/content/2/6/e000648.full?sid=12e3a4cd-50cb-4af7-91fe-f7f68a68d8ac
 
参考:
医療ニュース
2012年10月1日 「コーヒーは消化管疾患と無関係」
2010年5月24日 「紅茶で大腸ガンのリスクが上昇?」
はやりの病気第22回(2005年12月) 「癌・糖尿病・高血圧の予防にコーヒーを!」  
はやりの病気第30回(2006年4月) 「コーヒー摂取で心筋梗塞!」

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